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苦しみを解決するには感情をみてみよう! その2 思い込みやビリーフの解体に必要なこと

2022年1月28日

前回の記事では、苦しみから解放されるには、「能力がある自分になる」「繊細でない私になる」という方向ではなく、どうして私は「能力がないとダメだ」「制裁だとダメだ」と信じているのか? どんな経緯、理由があったのか? を自身が理解していくことがカギとなる、ということから、まずは、私たちの中になぜこのような思い込みやビリーフが生まれるのか、その仕組みを見ていきました。

 

私たちの思い込みやビリーフは、体験を通して形成され、その体験の中にあるものは、思いや感情、感覚、ストーリー、イメージなどとともに客観的な判断をされることなくダイレクトに潜在意識へと埋め込まれていくものであることを、発達の観点や脳波との関係からも理解していただけたかと思います。

 

 

今回は、いよいよ、その思い込みやビリーフが自分を苦しめている場合、どうやってその思い込みやビリーフから自由になっていくのか、それをみていきたいと思います。そのために、体験の中にある思い/解釈や感情、感覚、ストーリー、イメージをどのように解体していくのかについて、【感覚―感情―思い/解釈】の関係を紐解きながら解説していきたいと思います。

 

ビリーフを構成する【感覚―感情―思い/解釈】

ビリーフは、経験した事実に対しての、感覚、感情、思い/解釈が合わさってできています。

前回の両親が不仲の家庭の例で考えてみましょう。例えば、自分の目の前で、お父さんがお母さんに対して「〇〇と言っている」。それに対してお母さんが「△△だと言った」、という状況に対して、子供は、ビクビクし(感覚)恐怖感(感情)を感じながら、「お父さんとお母さんが喧嘩している」(思い/解釈)ととらえながら見ます。

 

これらの感覚―感情―思い/解釈の発動は瞬時に、そして同時に起きています。このビクビク(感覚)―恐怖感(感情)―両親が喧嘩をしている(思い/解釈)から、例えば、「世界は安全ではない」といった思い込みや、「自分は守ってもらえない存在」といった自分への解釈/セルフイメージを持つに至っていくのです。

 

ちなみに、物事をとらえる際に、私たちは、体感型、感情型、思考型といった風に優位に働くチャンネルの違いがあり、どれが優位に働くかのタイプの違いによって、思考よりも感覚を先に感じるとか、思考で捉えるのが先など、感じ方の順番の違いが生じます。とはいえ、基本的に事実や状況に対して、感覚―感情―思い/解釈が同時に起こり、捉えている、というのは共通です。

 

 

このように、ビリーフの形成には、経験した事実に対して、その状況に対するセットで起こる【感覚―感情―思い/解釈】が関係している、ということです。

 

【感覚―感情―思い/解釈】の関係

思い/解釈を強める感情、感覚

次にこのセットの中の【感覚―感情―思い/解釈】の関係について、考察をしてみたいと思います。

 

私たちが感動したり、楽しさや充足感を感じたりしている(た)時、あるいは、ショックを受けたり、傷ついたりしている(た)時、これらには必ずそれ相応の感情や感覚の量が伴っていないでしょうか? ポジティブ、ネガティブ関わらず、心が動いた、心に残っている(った)というものは、その時に感じた(ている)感情や感覚が共にあるはずです。

 

私たちが、状況をとらえるときに起きる、【感覚―感情―思い/解釈】のセットですが、このセットの中の感情や感覚が大きいと、思い/解釈は、比例して真実味が強まります。

例えば、何かの演奏を聴いてものすごく胸が熱くなったり、鳥肌が立ったりして感動すると、「この演奏は素晴らしい」という思いになるでしょうし、両親の会話から怖さや恐れを感じると、「両親が喧嘩をしている」という思いを持つでしょう。逆に、高揚感をあまり感じていないときに「この演奏は素晴らしい!」とはならないでしょう。

また、いくら頭で「そんなことはないだろう」と納得しようとしても、どうしてもある考えから抜け出せない、という経験が誰しもあるかと思います。これも、感情や感覚が大きいために、思い/解釈を変えることが難しいことの例です。逆に言うと、この感情や感覚の量が減ったり、解消したりできれば、無理なく、自然に、この思い/解釈が変わるということです。(これを「認知のシフト」と呼びます。)

 

ちなみに、「量」という表現を使っていますが、怖さと悲しさなど様々な「種類」の感情や感覚が伴うことも含みます。様々な感情や感覚があることきも、思い/解釈の真実味は強まります。

 

つまり、私たちが状況をとらえる時には、【感覚―感情―思い/解釈】がセットで動き、その中で感情や感覚の量や種類が多いと思い/解釈の真実味が強まり、ひいては、そこから持つことになる思い込みやビリーフをあたかも真実かのようにさらに信じていく、という流れ、つながりになっている、ということです。

 

思いと感情と感覚は、栄養を与え合う

【感覚―感情―思い/解釈】の関係について、世界的に有名な精神的リーダーであるエクハルト・トールは、その著書『ニュー・アース』の中で、思いと感情と感覚との連動作用の観点からも述べています。

 

「思考と不可分なものとして、もう一つのエゴの次元がある。感情だ。・・・・(中略)・・・身体は頭の中の声が語る物語を信じて反応する。この反応が感情である。そして今度は感情が、感情を生み出した思考にエネルギーを供給する。これが観察も検討もされない思考と感情の悪循環で、感情的な思考と感情的な物語づくりにつながる」(『ニュー・アース』サンマーク出版、p.147)

 

 

例えば、ある人に「これ知ってる?」と言われたとき、「あの人は私をバカにしている!」という頭の中の声を信じている(思考)と、怒りや辱めを受けたような反応(感情や感覚)が起き、これらの反応がさらに自分の頭の中の声を信じ込ませて、「ほら、やっぱり私をバカにしている!」とさらに自分のストーリーにはまっていってしまう、という状態のことです。

 

このように、感覚、感情、思い/解釈は、お互いに連動して、栄養を与え合う、という性質があるのです。これが、ポジティブな場合はよいのですが、ネガティブな連動の場合は、相当苦しくなってしまいます。ですから、思考と感情、感覚の連動作用を緩やかなものにして、悪循環にならないようにしていくことが、苦しみから抜けるカギの一つである、ということもわかるかと思います。

 

 

このように、感情や感覚の量や種類が多いと思い/解釈の真実味を強めること、感覚―感情―思い/解釈はお互いに連動して栄養を与え合う、ということからも、苦しいビリーフ(解釈)を形成する【感覚―感情―思い/解釈】のセットの解体には、感情、感覚にアプローチしていくことが大切だ、ということが見えてくるかと思います。

 

感覚や感情を解放するには体に働きかける

それでは実際に、感覚、感情にはどのようにアプローチをしていけばよいのでしょうか?

 

私の行っているセラピーでは、【感覚―感情―思い/解釈】が発動している「体」そのものに働きかけることを行います。なぜなら、何かの体験をするとき、私たちは体(頭も含む)を通してそれを体験しているからです。例えば、両親の言い合いの状況についての、ビクビク(感覚)―恐怖感(感情)―両親が喧嘩している(思い/解釈)のセットは、体がなければ何を感じ、思っているかがわからないはずです。

 

体が感覚を感じる媒体であることは、わかると思いますが、体と感情とも、密接な関係にあります。

このことは、私たちの感情と姿勢の関係を考えてみるとわかりやすいと思います。

例えば、嬉しい時は、自然と笑みが出て飛び回りたくなったり、小躍りしたくなったりし、 一方で、悲しい時は、肩が落ちたり、うつむきかげんになったりするといった具合です。逆に、下を向いて背を丸めて嬉しさを味わえといっても、なかなか難しいですし、小躍りしながら悲しさを感じろといっても、これも難しいと思います。

また、例えば、災害のトラウマなどがある場合、頭ではもう終わったことだ、時間がたったのだから、と思っていても、本当の意味で解決していないのは、「それはもう終わったこと」「自分はもう大丈夫」といった新しい思い/解釈を持つための体の感覚や感情が伴っていないからだと考えられます。

 

 

このように、苦しみを生み出している思い込みやビリーフがあればあるほど、感覚や感情を解放するために、体に働きかける必要がある、ということが、このことからもわかるかと思います。

 

そのために、私の場合は、体の所定の経絡(つぼ)をトントンと刺激しながら、感覚や感情を解放し、【感覚―感情―思い/解釈】のセットの解体ができるEFT(Emotional Freedom Technique:感情解放のテクニック)というセラピーを使用したり、EFTの発展型のマトリックスリインプリンティングという療法も使用しています。

 

現在、多くの心理療法が開発され、利用することができる環境になってきていると思います。

 

その中で、私たちが苦しくなるときに、

 

・苦しみをもたらす思い込みやビリーフは体の奥深くにある
 
・思い込みやビリーフは、【感覚―感情―思い/解釈】のセットによって成り立っている
 
・感情、感覚の量や種類の多さが、思いを強めたり、連動してストーリーへと発展させていく

 

という仕組みがある、ということをベースに、体に働きかけながら、思い込みやビリーフを形成している【感覚―感情―思い/解釈】のセットにアクセスでき、感情や感覚を解放、変容できる療法を選んでいくとよいでしょう。

 

解体のプロセスは自分への愛

今回は、その1,その2と二部に分けて、苦しみとなる思い込みやビリーフをどのように解体していくのかについて解説してきました。

 

解体のプロセスは、気づいていなかった感覚、感情、思い/解釈に気づいていく、理解していくという、自分へと向けられる愛がベースになっているとも思います。

私たちは、苦しい時ほど、「能力のある私になる」や「繊細でない私になる」といった外に求める方向、言い換えるとさらに自分を痛めつける方向に行きがちですが、上記の自分の内側を見るという自分へ愛を向けることをベースにして、自分がなぜ信じてしまっているのか、どんな経験があったからなのか、それらの中身(【感覚―感情―思い/解釈】のセット)は何なのかを、自分がまず自分の理解者になる方向で、自分に向き合っていってあげたいですね。

 

ビリーフから生まれる悩みと実際のセッションではどう扱うのか?
 

ちなみに、思い込みやビリーフ、例えば「私は能力がない」、「私は醜い」、「私は嫌われ者」、「私は繊細」などというのは、潜在意識の深いところにあるので、普段は気づいていません。そして、悩みとして表れる時には、「嫉妬してしまう」、「比較が走ってつらい」、「みんなが私を受け入れてくれない(他者ばかりが受け入れられているように思える)」、「いつも自分でいられなくなる」などといったようなものになります。

 

ですから、悩みから解放されるためには、悩みを生み出すコアな思い込みやビリーフを見つけていく必要があります。そのためには、潜在意識にアクセスするために、前回の記事でも書いた心の階層を下りることを可能にする「気づきの問いかけ」を使ったり、体に働きかける心理療法(セラピー)が必要となるのです。

 

 


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苦しみを解決するには感情をみてみよう! その1 思い込みやビリーフはどう作られるのか

2022年1月12日

前回の記事では、自分の中に自己否定があると苦しむメカニズムについて見てきました。今回は、さらに一歩進めて、そのメカニズムで大きな役割を果たす「思い込み」や「ビリーフ」について、見ていきます。

 

自己否定で苦しむメカニズム

前回の記事では自己否定は、自分がよしとしない思いや感情を自分が持っていること自体を受け止めたくないために起きるということをお話ししました。

 

自分にとって持っていたいか、いたくないか(否定するかしないか)は、これも、以前の記事で書きましたが、私たちの中に根源的に死への怖れがあるため、どれぐらい死への怖れが刺激されるか、によって決まるのでした。例えば、「私は能力がない」、「私は醜い」、「私は嫌われ者」、「私は繊細」などという思い込みやビリーフがあったとして、これらが生き残りの可能性を低めると解釈されると、持っていたくないものになる、否定したいものになる、というわけです。

 

ある人は、「私は繊細だ」という思いがあっても、あまりネガティブにとらえていないのに、ある人にとっては、とても否定的に響いてしまう、という違いがあるのは上記の怖れが刺激される度合いの違いなのです。

 

「私は〇〇だ」という思いが人によってとらえ方、響き方が違うということは、これは、絶対的なものではなく、「能力がない」「繊細だ」といっても何をもって「能力がない」「繊細」というのかも人によって違うでしょうから、私たちは、それぐらい、相対的で、非常にあやふやなものを信じていると言ってもよいかと思います。

 

ですから、苦しみから解放されるには、「能力がある自分になる」「繊細でない私になる」という方向ではなく、こんなに相対的であやふやな思い込みであるにもかかわらず、どうして私はそれを信じているのか? どんな経緯、理由があったのか? を自身が理解していくことがカギとなります。

 

そこで、今回は、まずは、私たちの中になぜこのような思い込みやビリーフが生まれるのか、その仕組みを見ていきたいと思います。

そして、その仕組みがわかれば、どのように思い込みやビリーフを解放していけばよいのかについても理解ができます。一緒に見ていきましょう。

 

体験を通して作られる思い込み、ビリーフ

私たちは、自身が経験したこと、見たこと、聞いたことなどを通して、思い込みやビリーフを形成していきます。
子供から、大人へと成長していく過程の中で、私たちを取り巻く家庭や学校の環境での体験、友人・交友関係での経験、社会にある常識や価値観などが、私たちの思い込みやビリーフの形成に影響を及ぼします。

 

子供時代というのは、家庭や幼稚園、保育所、学校での生活というのが、子供の世界の大半を占めている時期であり、様々な情報や価値観、世界観に触れられる機会が少ない時期です。そのために、起きた事柄への判断が客観的にできにくく、誤った解釈、認識などもストレートに信じこんでしまう時期とも言えます。

 

例えば、両親の間でのケンカが絶えないなど、家庭の雰囲気がピリピリした中で育った場合、安心安全の感覚が養われないままとなり、「社会は安全ではない」といった思い込みや、親が不仲なのは自分のせいだと思いこみ、その結果、「私は愛されない存在、いらない子」といったビリーフ(セルフイメージ)を持ちやすいことになる、ということです。もし、虐待やニグレクトがあった場合など、ビリーフ形成にどれだけの影響があるかは想像に難くないでしょう。

 

それに加えて、特に発達の段階では脳波も大きく関与していると言われています。
私たちの脳波ですが、4つの状態に分けられ、通常の状態は、ベータ波。リラックスしている時は、アルファ波が出ています。瞑想状態や浅い眠りの時はシータ波で、深い眠りの時の脳波はデルタ波です。

 

私たちが生まれてから6,7歳までの脳波は、
生まれてから2歳までは、主にデルタ波と言われ、2歳から6,7歳にかけてはシータ波が増えてくる時期と言われています。
つまり、6,7歳までの期間、デルタ波とシータ波が占める子供の脳は、催眠状態のようにあらゆる情報を吸収し、刷り込みや主観的にとらえた信念や考えを潜在意識にダイレクトに蓄積していくのです。

 

このように、6,7歳までの時期と思い込みやビリーフ形成には、深い関係があることが理解できるかと思います。

 

思い込みやビリーフを形成する体験の中にあるもの

思い込みやビリーフは各自の体験をもとに形成されるということを考えると、「私は愛されない存在だ」という一見同じビリーフを持っている2人の人がいたとしても、そのビリーフとともにある思いや感情や感覚、ストーリー、イメージなどはそれぞれ違うものである、と言えるでしょう。

 

前述の「私は繊細」というビリーフのとらえ方が、ある人はあまりネガティブにとらえていないのに、ある人には否定的に響いてしまうと書きましたが、それは、このように、このビリーフを形成した体験の中にあるものが違うためなのです。そして、体験の中の思いや感情、感覚、ストーリー、イメージが、死への可能性に近ければ近いと解釈されるほど、思い込みやビリーフは、苦しいもの、否定したくなるもの、持っていたくないものになってしまう、ということです。

 

このような仕組みがあることを踏まえると、私たちに苦しみをもたらすと思える思い込みやビリーフから自由になるカギは、思い込みやビリーフを形成した体験の中にある思いや感情、感覚、ストーリー、イメージを解体していくことなんだな、ということも理解できるのではないかと思います。

 

ちなみに、この記事内で挙げている「私は能力がない」、「私は繊細」、「社会は安全ではない」「私は愛されない存在だ」などの思い込み、ビリーフ(セルフイメージ)は、潜在意識の中にあるため、普段は全く気づいていません。
これらの思い込みやビリーフを見つけるために、心の階層を下りていきながら、これらを探ることができる問いかけ(「気づきの問いかけ」と言います)を使用しています。

 

次の記事では、どのように体験の中にある思いや感情、感覚、ストーリー、イメージを解体していくのかについて、思いー感情―感覚の関係を紐解きながら解説していきたいと思います!

 


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苦しみの根本の原因がわかると、本当に楽になる

2021年12月12日

私たちは、自分の中に自己否定があると苦しむ、というしくみを持っています。
基本的に不快な感情や感覚は感じたくないと思っていますので、ネガティブな思いや感情、反応が出ている時に、そんな自分を否定したり、バッシングしてしまいがちです。そして、それによりさらに苦しみが増す、ということになってしまいます。

では、こうした、ネガティブなや感情、反応がでたときに、抵抗したり、否定的に見ないでいられるにはどうしたらよいのでしょうか?

まずは、私たちの心の仕組みを、詳しくみていきましょう。

 

 

私たちの心は構造的で論理的

みなさんは心のことってどんな風にとらえていますか?なんとなくふわっとしたものととらえている方も多いのではないかと思います。

ですが、実は、心は、この思いがあるから、この思いが生まれて、その思いに従うからこういう言動になる、といった風に、すごく構造的(階層になっている)かつ論理的なものなのです。

例えば、潜在意識で「私は人を不快にさせる存在だ」と信じていれば、「自分の主張はしない方が安全だ(主張は控えるべき)」といった思いが生まれ、主張や表現をしなくてもよいような、浅い人間関係を築いていく、という傾向になるでしょう。

ちなみに、こういう傾向の中ででてくる悩みの例としては、「人との関係が深まる感じになると怖くなってしまう」とか「自分の意見を主張する人に腹が立つ」とか、「(こんな私と)つきあってくれた人のことがどうしても忘れられない」といったようなものです。

 

一方で、「私は受け入れてもらえる存在だ」と信じていれば、そこから生まれる思いや、その思いからの言動は、前者とは全く違ったものになることがわかるかと思います。

 

このように、心は潜在意識にある思い(ビリーフやセルフイメージ)から、顕在意識4%の部分へと階層的につながっていて、このビリーフやセルフイメージとマッチする形で、4%の領域に私たちの行動、判断、世界や人の見え方が表れるのです。

 

 

わかっていないから苦しい

その一方で、前回の記事でも書いたとおり、私たちは、4%の領域の思いや感情にしか気づいていないので、それらがどのビリーフやセルフイメージから生まれていて、どんな階層の思いで構成されているのかについてわかっていません。

つまり、「人との関係が深まる感じになると怖くなる」とか「自分の意見を主張する人に腹が立つ」、「つきあった人のことがどうしても忘れられない」という反応についてはわかるのですが、どうしてそのような反応になるのかの本当の理由には気づけていないのです。

 

私たちは、基本的にわからないものに振り回されるというのは、非常に気持ちが悪いと感じます。

そこでこの気持ち悪さをなくしたいという思いが働いて、気持ち悪さを感じている自分に抵抗したり、否定したりする力が働くので、苦しくなってくるのです。

 

これは、言ってみれば、雨漏りで部屋が水浸しになっているから、雨漏りの原因や場所を特定して修繕をしないといけないのに、この物件を紹介した不動産会社に文句を言ったり、この物件を選んだ私がバカだったと自己憐憫に浸るばかりで、雨漏りの対処をせず、雨漏りがさらにひどくなって水浸しになっている(苦しくなる)、といったことと同じかもしれません。

 

苦しんでいる自分自身に優しくしてあげることができればいいのに、それがなかなかできにくいのは、こうした心の動きによるものです。

 

ですが、反対に、その苦しみの理由がわかれば、自分に影響を与えていたビリーフやセルフイメージは、振り回す力を失い、単純に「向き合う対象」へと変わります。雨漏りの原因や箇所が特定できれば、雨漏りが力を失うのと同じです。

 

スティーブ・ジョブズが「多くの場合、人はかたちにして見せてもらうまで、自分が何がほしいのかわからないものだ」と言っています。実際、自覚されていなかったものが、見えたときに、「あ~そうそう、これこれ!」とか、「そう言えばそうだったかも」と思って、妙に納得できたり、ストンと腑に落ちた感覚になった経験をお持ちの方も多いのではないかと思います。

それと同じで、ネガティブな感情や反応が起きる本当の理由がわかると、自分の言動や動きがビリーフやセルフイメージに基づいたものだったということが理解できますし、そう理解できると、怖かった私、腹を立てていた私、忘れることができなかった私に対して、「だったらしょうがないよね」と自然と受容の気持ちが起きていきます。

 

 

ピンポイントの原因特定が苦しみからの解放につながる

このように私たちの心は、顕在意識4%の部分に悩みや反応となって現れる「潜在意識にある思い込み」(ビリーフやセルフイメージ)をピンポイントに解き明かせれば、これを変容させていけばよいのだな、とわかるので、落ち着くことができます。

 

では、心の階層的な構造を辿りながら、ピンポイントのビリーフやセルフイメージを見つけるためには、どうしたらいいのでしょうか?

 

それには、まず階層の一番上に出てきている4%のものに気づくことから始まります
自分の言動、反応、解釈に気づくことです。

例えば、捻挫の場合は、筋がどんな風にねじれたかがレントゲンなどでわかりますが、心は、心を映し出すレントゲンがないので、自分がレントゲンの目にならないといけません。

 

そして、「階層」を意識するということも大切です。つまり、「今この反応、解釈がでているけれども、ということは、何か前提としている解釈や思いこみがあるということだな」と立ち止まったり、「ということは、どういうことなのだろう?」という問いを立ててみたりすることです。そのことにより、心の下の階層へとおりていくことができます。

 

 

私たちは根源的にどんなものも赦している

「なぜ苦しかったのかの理由はわからないけど、なんとなくラクになりました」はもちろんよいですし素晴らしいことです。でも、本当の意味でラクになるのは、苦しみを生んでいた原因を見つけ、また、それをなぜ信じていたのかを理解できた時だと思います。

なぜなら、そうすることで、雨漏りの原因が取り除かれ、それが再び水浸しになることを防ぐことができるばかりだけでなく、雨漏りや水浸しという状況の被害者意識からも抜けだせるからです。

私たちは根源的にはどんなものも赦すことができるクオリティを持っているはずなのです。しかし、ビリーフやセルフイメージを信じることから生まれる怖れが大きいと、そのクオリティは見えにくくなっています。「どんなものも赦している」というクオリティへ至るには、「見つけ」、「理解していく」が大切になってきます。なぜなら、私たちの中にある怖れは、見つけられ、理解され、赦しや愛へと変容することをずっと待っているのですから。

 

 


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今の自分にOKが出せない理由

2021年11月19日

自分自身を振り返ってみても、私たちは、今の自分にOKを出すことが難しく、自分の足りないところを埋めようと、知識やスキルをつけようと懸命になったり、解決策を見つけようと必死になったりしがちです。でも、いくらそれをやってみても、本当の意味での安心感は得られません。
どうしてそんなことが起きるのでしょうか?そして、本当の安心感を得るには、どうしたらいいのでしょうか?

 

思い込みを強める「怖れ」の正体

たとえば、あなたが、「自分は気がきかない」と心の深いところで信じているとしましょう。

この思いを信じているあなたが仕事をする場合、どのような行動になるでしょうか?

 

・抜けがないように気をつけようとする

・機転がきく部下が気になってしまう

・全ての仕事の依頼を引き受けようとする

・困っている人がいないかいつも周りを気にしている……などをするかもしれません。

 

この行動へと向かわせるのは、潜在意識にある「自分は気がきかない」という思い込みです。思い込みなので、事実ではありません。事実は、「私がオフィスのデスクに座っている」「私が〇〇の仕事をしている」「私が△△のプロジェクトに関わっている」といったことです。一方で、こうした思い込みを信じ込む背景には、私たちが持つ「怖れ」の存在があります。この怖れの正体は、実は「死」なのです。

 

この「死」には、2つの種類があります。一つは「肉体の死」もう一つは「精神の死」です。肉体の死とは、文字通りに肉体を失うことで、現在の先進国では、動物に襲われたりすることはない反面、かなりの部分は経済的に食べられなくなってしまうことを指しています。精神の死は、仲間から受け入れられなくなったり、評価されなくなり、自分の存在価値がなくなったと感じて精神的に死ぬことを意味します。

 

気がきかない、ということは、仕事を失って稼げなくなって肉体的に死ぬことにつながりますし、役に立てず、評価を失って精神的にも死ぬことにつながります。ゆえに、気がきかない状態から脱出したい、そう思われることを避けたいと、必死になるわけです。

 

 

消えない不足感、不安感を埋めるために私たちがすること

「死」への怖れによって「気がきかない私はだめだ」という自己否定は強められ、これがないから幸せではない、これが手に入るまでは自分を認められない、といった「不足のストーリー」も生まれます。

 

・なぜ自分はできないのだろう。もっと自分に能力があったなら→資格を増やそう

・なぜこんな会社を選んじゃったんだろう。もっと自分にあった会社があるのではないか→転職活動をしようか

・もっと上司が評価してくれる人だったらよかったのに→部署変えを申請しようか

・マウントをとらない部下だったらよかったのに→あの部下とはあまり付き合わないようにしよう

・・・・・・

 

などなど、自分や相手、状況に対する不満や要望は数えだすときりがありません。

 

しかし、根本に怖れがある限り、「私は気がきかない」という思い込みから抜け出すことができないので、このようにいくら不足感を埋める行動をしても、自分では満足感や達成感を得ることができず、常に不安感が消えずに、やがて疲れ果ててしまいます。

 

 

「怖れ」から「愛」に

こうした不足感や不安感から抜け出して、本当の安心感を得るには、どうしたらいいでしょうか?

 

大切なのは、出発点を「怖れ」から「愛」に変えてみることです。それにより、間違った解釈に立った思い込みから抜けだすことができます。

 

もし「死」への「怖れ」がなければ、つまり気がきかなくても、肉体的にあるいは精神的に絶対に死なないと保証されているとしたならば、私たちはどんな風に職場に存在し、どんな行動をとるでしょうか。

 

おそらく、仕事を失わないように、や、評価を失わないようにといった視点の行為から、より「私はどうありたいか」の視点に変わるのではないでしょうか?

例えば、なぜ私はこの仕事と関わっているのかといった自分のビジョンや、このプロジェクトに携わる動機やミッション、情熱、といったことが、立ち現れてくるかもしれません。相手中心の状態から、自分主体の状態へと、変化が起きてきます。

 

 

「愛」の感覚を思い出す

ここでちょっと、「怖れ」がない状態をイメージしてみたいと思います。

 

すごく感動したり、気持ちが動いた瞬間、映画や本、芸術、食べ物などに感銘を受けた時、心を奪われるような景色や情景に触れた時のことを覚えていますか?

その瞬間、身体はどうなっていたでしょうか? 何をとらえていたでしょうか?

 

周りの音が耳に入ってこないくらいに全身でその瞬間にただいたかもしれないですね。

頭の中が真っ白、言葉を失うぐらいの何かが体を充満していたかもしれないですね。

 

この時、思考はうるさく何かを語っていたでしょうか?

怖れや欠如感がこの瞬間、存在していたでしょうか?

 

おそらく思考が限りなく鎮まっていて、ただその感動や感銘が体を通した感覚として経験されていただけではないでしょうか?

 

素晴らしくて細胞が目覚めるような感じ

わぁ~とため息が漏れるような、圧倒されるような感じ

 

などのように。

 

この限りなく思考を通さない、ただこの感覚の連続の経験、またそれを経験することができる部分が私たちの中にある、私たちそのものであるということを思い出し、そちらをベースにしてみるのはどうでしょうか?

 

苦しければ苦しいときほど、命なき命を生きる状態から、この命の輝き、生命の流れそのものであるということを思い出したいと思うのです。

 

 

イエズス会の司祭であり心理療法家でもあったアンソニー・デ・メーロが「愛とは対象がない 愛は存在そのもの」と言います。
一般的には、愛するとは、誰かや何かという対象に向かう感覚であり、対象がなければ起きないこと、というイメージかと思いますが、彼はそうした対象がなくても自分の中から湧き上がるものが愛、なぜなら私たちが愛そのものである、ということを言っていたのではないかと思います。

 

ここで、「対象」という言葉を「条件」という言葉に変え、「愛」を「感動」や「感銘」に変えてみると、わかりやすいかもしれません。私たちが感動や感銘の中にいるとき、全く条件を出すことなく、思考も通す必要もなく、ただ、命の流れや生きる力の源に手が届いていると感じることができますが、これが「愛」の感覚に近いかもしれません。

この時、怖れや思い込みの実体はすっかり薄れてしまうことでしょう。そしてまた、この時、本当の意味で、今の自分や自分が直面している状況を受け入れることもできることでしょう。

 

ワークのご紹介もしておきます♪

○○がないと、△△があれば・・といった「不足のストーリー」や不安感から抜け出すワーク
実際に起きていることに目を向けたり、感じたりしてみましょう
今ここの体の感覚に意識を向けるとやりやすいでしょう例えば、手の平を触っている感覚、椅子に座っている時の感覚に集中する

 

○○がないと、△△があれば・・の思いから自己像を見つけるワークのヒント

「それがないとどんな自分になってしまうのか?」、また「それはどんな自分だからか?」という自己像を探る問いかけをしてみます。あたかもこの自分像がいると信じているために、これがあれば、こうあってくれればという要望が生まれているからです。

 

※信じてしまうのは、そこに感情―感覚―思いがくっついているからなので、感情解放のセラピーなどが役に立ちます。

 

例えば、「誰かに助けてもらわないと無力な自分(だから)」という自己像が見えてきたとしたら、この自己像(自分)が感じている感情―感覚―思いを解放をしていくと、変容していきます。

 


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自分と向き合うとはどういうことでしょう?

2021年11月3日

温泉で出会ったおばあさんの話

先日、数カ月ぶりに温泉に行きました。

湯船や脱衣場では、興味がなくても人々の会話が耳に入ってくるものです。それはそれで、その場に居合わせた人たちと時間を共にする感覚にもなり、好きだったりします。

 

今回も、脱衣場で隣にいた80歳くらいのおばあさんが、誰にともなく話していました。おばあさんが話していたのは、こんな話でした。

 

「やっと来れたんですよ。ここのリゾート権をもっているのに予約が大変だった(1日前に予約した私は、ごめんなさいと心の中で謝りました^^)。お父さん(旦那さんのこと)が5月で亡くなったので、一緒に来れたらよかったのだけど。でもね、息子たちがいるからね、今日は家族で来れてよかったのよ。お父さん、ここ好きだったから、もう本当に一緒に来れたらよかったのに……。でもね~予約が大変だったのよ」

 

私は身支度が整ったので、

「来れてよかったですね」、「お父さん残念でしたね」と言いながら、「お先に」とその場をあとにしました。

 

 

その人の世界をつくっている96%のもの

私たちの心は顕在意識が4%で、あとの96%の潜在意識が自分の行動や反応を支配していると言われています。その96%が無意識であるからゆえに、様々な反応や解釈、行動が、この96%から生み出されている、ということにも無意識。

 

例えば、96%の部分に焦りがあれば誰かがうまくやっているように見えたり、不満や自身を否定するような思いがあると他人の些細な言動にイラっときてしまったり、反対に余裕があれば軽口をたたかれたとしても簡単に許せたり。そういうこともこの96%の部分が関係をしているのです。4%に何が現れてくるかは、96%に何があるかによって決まるのです。

 

また、特に96%の部分に、知らずに抑えているものがあると、何らかの形で埋め合わせをしたいという衝動やニーズも生まれます。依存症や摂食障害なども、基本このメカニズムが働いているのです。

 

いずれにしても、表に現れていることは、無意識の領域から生まれているのですが、無意識であるが故に、本当の意味で、どうして自分が今こういう行動をしているのか、なぜこのような表現をとっているのかについて、振り返られることはほぼほぼありません。

 

前述のおばあさんも、どうして自分が話しかけたくなっているのか、いろんな話題の中でどうしてこの話をしているのか、自分では分かっていないのでしょう。

 

 

私をキレさせたもの

こうしたことは、おばあさんに限らず、私も含めて、実はすべての人にあてはまることなのです。

私の例をお話しすると、私が大学2年か3年の時だったと思うのですが、友達に初めてキレて声を荒げた、ということがありました。約束していたバイト帰りのごはんが、都合が悪くなったから行けないと言われたときでした。相手は中学時代からの友人で、甘えもあったとは思いますが、自分でも自分の反応に驚くほど相手にひどい言葉を投げてしまったのです。

 

その頃の私はといえば、自分が何がしたいのかがわからず、色々試すがピンとこず、そしてますますわからなくなるという鬱々とした生活を送っていた時期でもありました。「自分には力がない」「自分は空っぽだ」「自分一人では何もできない」という思いや心もとなさ、不安感、焦りを持て余していたのです。相手の言葉が、そんな私に「あなた一人でやって」と言っているように聞こえ、相手への攻撃を生んだのだと今はわかります。

でも、あの時は、腹が立っているのは約束を破った相手のせいで、自分の無力感が刺激されているからだとはみじんも思っていませんでした。

 

 

おばあさんの96%にあったもの

おばあさんの話に戻りますが、おばあさんの96%の潜在意識には、何があったのでしょうか?

想像の域は出ませんが、このコロナ禍というご時世で、緊張しろ、緩めるなと言われ続けた疲れやストレス、そして、夫を亡くした喪失感や寂しさなどもあったことでしょう。そしてそれらがあれば、今回旅ができたというのは当然、嬉しいことであるでしょうし、様々な感情の中、過ごしてきたことへの称賛やねぎらいを求めたくもなるのだと思います。「お父さんがこの宿が好きだったから~」と話したのは、「自分だけ楽しんじゃ申し訳ない」と自分をいさめる気持ちが働いたのかもしれません。でも逆に言うと、それぐらいおばあさんは嬉しい気持ちで一杯でもあったのでしょう。

そんなふうに、自分では意識されていない、いろんな感情の重なりがある、ということです。

 

 

自分の意識されていない部分に光をあてる問いとは

表に出てくる反応や行動は、目に見えるものなので、わかりやすいものです。でも、それらにはいつも目に見えないワケがあり、理由があリます。さらに、そのワケや理由を支えているビリーフや価値観、記憶、セルフイメージなどがあるのです。そしてそれは、意識されていない96%の部分にあり、それらを通して事柄や人、状況を見、その結果4%に反応や行動としてでているのです。そういう意味で、意識されていない96%の部分に光をあてていくことは、本当の意味での“自分をわかっていく“ことでもあります。

 

今、こんなふうに反応したり、行動したり、解釈したりしているけれども、

 

ということは、

 

◎どういうことが私の中で起きているからだろうか?

 

◎このように反応するのは、私の中でなにか前提としている価値観などがあるからだろうか?

 

◎何か気づいていない感情や思いがあるからなのではないだろうか?

 

まずは、立ち止まって、このような問いを立ててみませんか?

そうすると、これまで意識されていなかった部分に、光があたり始めます。そして、これらの問いに答えるためには、自分に向き合わないとなりません。

 

 

自分に向き合ったことで得たもの

私は、あの声を荒げた数年後、朝起き上がることができなくなったり、パニック発作を経験することになりました。自分と向き合わず、本当の意味で自分をわかっていないことから生じる苦しさや生きづらさは、体、精神に影響を及ぼします。自身の経験から、また日々伴走をしているクライアントさんからも、それがわかります。

 

自分と向き合うかどうかは、最終的に本人が決めることだと思います。

 

私の場合は、あの生きづらさを経験したり、パニック障害になったことで、自分と向き合い始めました。それを経て、今、確実に言えることは、自身に起きたこと(キレたこと、不安で一杯だったこと、色々なことができなくなり深い自己否定の中にいたこと、などなど数限りなくあること)について、誰も悪くなかったのだな、という平和な境地にいられている、ということです。

 

この境地を多くの人たちと分かち合いたい、という思いが働くので、どうしても自分と向き合うこと、無意識の領域に気づいていくことについて語る時、ついつい熱くなってしまいます。

 

 

ちなみに、くだんの友人との友情は今も変わらずに続いています。


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乗り物恐怖とトイレ問題~本当の解決のしかた~

2021年7月6日


こんにちは!

今日もパニック障害から自由になっていくために、心のしくみの観点からその原因にまつわるお話をしていきたいと思います。

 

今日は、乗り物恐怖と「トイレ問題」を題材に見ていきたいと思います。

 

・電車に乗るのが怖い、

・一定時間、停車しない急行や新幹線が苦手だ、

・渋滞やトンネルのことを思うと怖くなる、

 

こんな風に乗り物に対して苦手意識、恐怖感を訴えられる方、多くいらっしゃると思いますが、よくよくお話を伺っていくと、

 

・トイレがある車両付きの電車だったり、新幹線であれば乗れる、

・トイレのことを気にしなくてよいのなら、大丈夫、

 

とおっしゃる方がいらっしゃいます。

 

・・・となると、これは、

乗り物が怖いのではなく、

「トイレがあるかどうか」が問題であり、乗り物ではない、ということになります。

※乗り物以外の、例えば、「トイレのないショッピングセンターに行く」と想像すると、嫌だなという反応が起こるはずです(ここからも乗り物ではないことがわかる)

※乗り物への恐怖を生むファクターが他にある場合は(「問題のアスペクト」ともいいます)、依然、乗り物恐怖はありますが、アスペクトをすべてつぶしていくと、乗り物恐怖は解決できます。

 

 

私たちは、〇〇の状況に対して恐怖感が起こるのだから、〇〇恐怖でしょう!

と、ざっくり結び付けてしまう傾向があるのですが、

 

これって実は日々の中でもやっていて、

例えば、

ある人のことが苦手だと思っていたけれども、よく探ってみると、

その人が問題なのではなくて、

その人が言った言葉に反応していただけだった(その人だけでなく、誰に言われてむかつく!だった、など)

なんてこともあると思います。

 

しかし、本当の問題に気づいていないと、

いかにその人(乗り物)を避けるか、

反対にその人と(乗り物と)上手くやっていくか、

と、

問題ではないことの方にエネルギーを注ぐ、ということをやってしまいます。

 

一見、乗り物に乗ることと体の症状を結びつけて、乗り物が原因だとしたくなりますが、

「トイレのあるなし」で変わってくる場合は、

乗り物が要因ではないんだ、
なんでもかんでも乗れないわけではないんだな、という点を理解されると、

「乗り物恐怖がある自分」への否定感も和らぐと思います。

 

 

そして、お気づきのように、

本当に見ていってあげたいのは、

どうして、その言葉に自分は反応してしまうのか

つまり、どうして、トイレがあるかないかが問題になってしまうのか、

の方ですね。

 

 

では、トイレがあるかないかが気になるのか、ですが、

もともと、はっきりとした原因がないのに、

腹痛や頻尿、吐き気や気分が悪くなるといった症状に悩んでいるからではないでしょうか?

*明らかに有毒なものが体に入ったことが原因の場合は、処置ができますが、
原因が特定できずに、これらの症状がでるのは、生活を制限されるなど、大きなストレスとなることでしょう。

 

 

自然な状態をとどこおらせるものは何?

話を戻して、

私たちの心と体はつながっています。

 

緩んだ心にあれれば、緩んだ体、存在としてあれるでしょう。

その時は、

自分らしさ、

自分にとっての自然な流れ、

防御していないありのままな姿、状態

であるしょう。

 

 

しかし、私たちは、

圧倒されるような体験や、ショック、トラウマ的な体験などによる傷つきがあると、

もう二度とあのような体験で感じた感情や思いは経験したくない、と、

その時の感情や思いを体の中に閉じ込め、封じ込めます。

(ちなみにこれは無意識にやっています。また、これが良いとか悪いとかということでもなく、防衛反応として自動的にも起きます。)

 

しかしながら、それによって、

自分らしさや、

自分にとって自然なあり方、エネルギー、

からも切り離されてしまいます。

 

「生きづらい」という言葉は、まさに、この状態で人生を生きている状態を表現している、とも言えるでしょう。

 

このような状態に継続的にあった場合、心も体も当然、影響を受けますね。

(自分は無力、人はうまくやっているように感じたり、世界は怖いところと見える

体もますます緊張、警戒モードに入るなど)

 

そういう意味で、

原因がよくわからない、腹痛や気分が悪くなるといった、症状、表れも、

このように、自分らしさや、本質のエネルギーから離れてしまった結果起きていること、

と考えることができるかと思います。

 

そういう意味でも、

トイレがあるかどうかが気になる、ということから自由になるためには、

 

どうして、そもそも、腹痛や頻尿、気分が悪くなる、ということが起きるのか?

どのような思いや感情を閉じ込めたのか、
それはどんな傷つきがあったからなのか、

探っていく、知っていくということが鍵になるということが理解できるかと思います。

 

 

私を自分らしさから離れさせるものは何?どんな傷つきがあったの?
それをわかってあげたい

 

症状を生み出す本当の理由を見ていってあげたいですよね。

そのやり方です♪

 

☆いつ頃からその症状が始まったか?その頃、どのような生活をしていたか?

心や体に影響を受けたライフイベント、経験がなかったか?:

・人間関係に悩んでいた

・職場でいじめにあった

・思ったような仕事に就けず、自分を責めていた

・大切な誰か、ペットなどとの別れがあった

などなど

 

私たちはいつも、思いー感情―感覚をとおして、様々な経験をしています。

これらの自分にとって大きなイベント、経験の中にあった思い―感情―感覚を探り、寄り添い、理解をしていくことで(実際にはセラピーを使っていきます)、

自分らしいエネルギーに回復していくことができます。

 

 

☆自身を制限する思い込みやビリーフ、刷り込み、自己イメージはどうして作られたのか?を探る

これらをベースにして、普段私たちは、解釈をしたり、判断をしたり、行動したりしています。私たちを動かす設計図のようなものです。

これらは、あまりに当たり前すぎて、気づきにくかったりもするのですが、

ネガティブなものであったり、否定感があったりすると、

不幸感がじわじわ募って、自分らしさとの切り離され感も大きく、苦しみとなります。

 

気づきにくいものを、気づいていくには、どうしたらいいのでしょう?

それは、

普段の日常の中で、いつも反応してしまうこと、感情が動かされることを、よーーく観察していることが必要です。

そこを入り口に、自身を制限する思いこみやビリーフ、刷り込み、自己イメージを探っていくことができます。

思考の観察をするとよいと言われるのは、このためでもあります。

 

 

一見、自分を悩ます症状や不快感ですが、
それらは、深く傷ついた自分を迎え入れてあげられる愛への入り口になりますね。

 

💡ポイント
・トイレ問題と乗り物とを結びつけていないか、吟味してみよう!

・症状は、切り離された自分らしさ、本質のエネルギーの回復への大切なきっかけとなります

 

今日も最後まで読んでくださりありがとうございます♪

 

あわせて読みたい

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Meet fear with Love

2020年3月6日

~Meet fear with love~

自分が小さい、弱い、対処する力がないなど自分への思い込み、そしてそういう自分への否定があると、
目の前のものは大きく映り、
そして「怖れ」「恐怖感」の気持ちが大きくなるでしょう

しかし、
近づけないと思っていた「怖れ、恐怖感」と向き合い始めると、

これらの自分への思い込み、否定にも理由があったことがわかる

そしてたくさんの押し込められた感情たち、思いたちにも

それらは、精神的にも肉体的にも
命をつなぐためにあったのだと
気づく

 

そして今や
抱きしめてあげたいもの
愛おしんであげたいもの
労ってあげたいもの
へと変わる

イラスト©Cécile Carre

 

否定が解ける(溶ける)とき
私を圧倒すると映っていたモノのありのままの姿がわかる

Meet fear with love
その1st ステップは、
怖れ、恐怖感と向き合い始めること

 

 

Lovexx

 

 

*向き合うのにセラピーなどが使えます♪

 

 


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不安を感じたり、ザワザワしていませんか?

2020年3月4日

こんにちは!

世の中至るところで「パニック、パニック」と騒がれていて、
ひょっとしてその言葉を聞くだけでもザワザワしていたり、耳障りな音に聴こえている方もいるかも….

ということで、
ちょっと言葉遊びなのですが、「PANIC」で、やってみました

5文字だけど、この文字でできているいろんな言葉もあるよ、ということで

ちょっとでも地に足がつく感じがするといいなという思いも込めて…🙂💗

P

Peace(平和)、Present(存在している)、Power(力)、Passion(情熱)、Purity(純粋さ)

A

Acceptance(受容)、Awareness(気づき)、Ability(能力)、Affection(愛情)

N

Natural(自然な)、Neutral(ニュートラルな)、Nurture(育てる、養う)

I

Interaction(交流)、Improve(改善する)、Inner(内側の)、Integrity(誠実さ)、Intellectual(知的な)、Intelligence(聡明さ)

C

Compassion(思いやり)、Connection(つながり)、Consciousness(意識)、Central(中心)、Calm(静か、おだやか)

 

自分に優しくお過ごしください♡xx

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呼吸がうまくできるか不安です~相手が上、私が下になっていない?~

2020年2月22日

こんにちは!

パニック障害の方にとって、
美容院に行く、
歯医者に行く、
病院で検査をしてもらう(胃カメラとか大腸がんの検診、MRIなどなど)などは、
ハードルが高いものと感じていらっしゃる方も多いのではないかと思います。

 

多くは、美容院、歯医者、検査について、
「自分のコントロールがきかない状況におかれる」と感じるので、
それによって発作のようなものが出ないか、出たらどうしようか、
という予期不安を抱く、という流れが働くというものだと思います。

その結果行くのをすごくためらう、
予約は入れたものの気乗りしない、
予約取り消そうとまで思う、、なんてことまで起こりますよね。

 

さらに、コントロールがきかないところでも冷静に対応ができるように、ということでいろいろな方法を考えたり、冷静に対応ができているかどうかのバロメーターとして身体の状態を基準に置いたりもするのです。

今日はそもそも
美容院、歯医者、病院の検査(医師など)をどう見ている?というお話です。

私たちはついつい
サービスを受ける、治療をしてもらう、検査を受ける、
といったときに、
無意識に、心の中で自分が立場が下で、相手が立場が上、
ということになっているということがあります。

自分を振り返ったときにそのようになっていないか、を探ってみるとよいです 🙂

私も気づくとなぜか医師の方が立場が上で、自分が下、
だから相手の言うことは正しくて、こちらか何か要望を言ったり、質問をすることができない
と思いこんでいる、あるいは思いこんでいることにも気づいていない!ということも多々ありました(今も知らないうちにそうなっていることがあって自分の思いこみにびっくりすることもあります!)

 

みなさんはどうですか?よく振り返ってみるとそうなっていたりしませんか?!

 

このように心の中で相手が上、自分が下、ということになっていると、

当然、
自分の状態について説明するとか、
不安になることがあるので、その時は治療を一旦ストップしてほしい、とか
時々声をかけてほしいとか、
自分のペースを尊重してほしいとか、

といったことが言いにくくなってしまう、我慢するのが当たり前だと思う、
ということになってしまいます。

 

でも実際は、
例えば、私たちは一人の顧客として、
サービスを受けたいという意思があり、
そのお店や医院を選び

そして美容師さんや医師は、
自分がこれまで習得したスキルや知識を提供しますよーとお店や医院にいる

サービスを享受したいというニーズがあって、
サービスを提供したいというニーズがあって、
それが合致している(選び、選ばれ)という関係性があるだけ

そういう意味では、
立場が上とか下とかが関係なく、完全にイーブン、対等!

(たとえ、どんな素晴らしい美容学校を卒業していても、どんなランキングの高い学校を出ていたとしても関係なし♡
むしろ自分のためにスキル、知識を積んできてくれてありがとう!という感謝すらでてくるかもしれません^^)

 

この「対等な関係性なんだ!」ということを認識して、
美容院に行く、歯医者に行く、検診に行くなどの状況をもう一度イメージしてみましょう

 

立場の上下はどうでしょう?

自分の中に力が戻ってくる感じがしませんか?

 

その状態で、自分の中に要望や希望がある場合、
どうしたいか、何ができるかもよくイメージしてみましょう

あるクライアントさんは、

歯医者さんに行くのに、

「自分の状態を説明した上で、不安になったら一旦止めてほしい、と言いたい」
「時々声をかけてくれたり、自分の状態を確認してほしい」

と思ってはいたのですが、
これを言ってはいけない、言うのはばかられると思われていました。

そして、これらを我慢する代わりに、呼吸がうまくできていれば治療に対処ができるかも、と。

コントロールがきかないところでも冷静に対応ができる方法をいろいろ考えたり、
冷静に対応ができているかどうかのバロメーターとして身体の状態を基準に置いたりもするのです。
このクライアントさんの場合は、「呼吸がうまくできているかどうか」を基準に置かれていた、ということです。

しかしながら、呼吸は、不安感を抑圧するためのお守りのような存在ですから、
呼吸がうまくできるかどうかが、今度はすごく気になり始めるわけです。
セッションにいらしたときは、
「歯医者に行ったときに、呼吸がうまくできるかどうかが不安」とおっしゃったのですが、
これは本当のテーマではないわけです。

 

そこで、改めて、歯医者さんと自分について、
無意識に心の中で上下関係になっていたこと
(自分が下と思っているので、当然「コントロールできない」という世界観になり、不安感も伴ってしまう)、

でも、サービスを提供する、受けるという点においては、
本当は「対等の立場にある」ということに気づかれたことによって、

「あれ?不思議。。。自分の要望をちゃんと言ってもいいと思える」
「だとしたら、呼吸がどうかはあまり問題じゃなくなる、あれ?あんまり気にならない!」

となられました 🙂

 

というわけで、
こんな風に、いつの間にか無意識に相手が上(下)で、自分が下(上)といった
自分の心の中で、誰かや何かと上下関係を作っていないかな?
というのを確認してみることは大切ですね

これを見逃したままサービスを受けようとしても、

私はあなたにすべて任せてしまいます、あなたの状態に頼りますといった、
相手に力を明け渡してしまっている状態にあるわけですから、

この無力な状態を無意識に補ったり、
抑圧しておくための(向き合わないための)何かを見つけたり、
気を付けたりしなければいけなくなるわけです

ここにはそれなりのエネルギーを知らず知らずのうちに使いますので、
疲れてしまって、

もうサービスを受けることをやめようかという話にまでなってしまう・・・

でもそれは、
本末転倒な結果になってしまいますね

 

今回のクライアントさんの場合は、
思考のレベルで認知が変化したケースですが、

もしそれでもやっぱり上下関係があるように思えるという場合は、
権威とか学歴とか、職業、また自分がパニック障害であることに対して、
どんな風に思っているのか?感じているのか?を探っていくといいですね

もしかすると、自分の中にある無力感や恥ずかしいなどという気持ちを通してこれらを見ているのかもしれません

無力感や恥を持つのが悪いということではなく、
どうしてそう思っているのだろう?と自分に寄り添い、対話していく(セラピーを使うのもよいでしょう)ことで理由もわかってくるでしょう。

そして明け渡してしまった力が自分に戻ると、
サービスの授受も信頼と感謝をベースにしたものに変化します
そんな状態で美容院、歯医者、検診に行ける方がシンプルで自分にとっても優しいですよね

ということで、
誰かや何かの上になっていない?下になっていない?と、
無意識に当たり前にしてしまっている自分の思いこみを確認してみること
これ、大切ですね♪

今日も最後まで読んでくださりありがとうございます!

自分にやさしくお過ごしくださいね♡

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発作がでる=身体がおかしくなっていると自分を責めないために

2020年2月19日

心臓がドキドキする
息がしにくい
喉がつまるような窒息感
めまい、ふらふらする
心臓発作じゃないかと思う
汗がでる
吐き気がする
このまま死んじゃうんんじゃないかという不安
自分が狂っちゃうんんじゃないか・・
胸が痛くなる
コントロールを失うのではという恐怖感
などなど・・・

これらのとても不快な経験と伴うパニック発作ですが、
「危険な状態」から体、生命を守るための正常な働きとしての表れでもあるのです(とはいえとても不快なので、不快だということがすごくわかります・・・(´;ω;`))

不快ではありますが、決して身体が誤作動を起こしているわけではないこと

自分の身体がおかしくなっているのでは?といった自分責め、自己否定のサイクルに陥らないことはとても大切

それよりはむしろ、
危険な状態ではないのになぜ「危険!」と察知したのか?
身体に反応を起こさせるぐらいにどんなストレス、未解消の感情、思いがあったのかに注目をしていってあげたいですね

発作の原因、予期不安、広場恐怖へと広がらせない方法について、心と体の観点から、自分の身体に起きていることを理解し、対応していく方法についての知識をつけていきませんか?

しくみがわかってくると
どのようにケアしていけばいいのか
どんな風にアプローチしていけばいいのかが
自ずと見えきますよ♪

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