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幸せになることを選べない、自分に許すことができないとき ~ビリーフを生きる私たち~ #1 ケースA「幸せは長続きしない」

2022年5月16日

今回からは、シリーズで「幸せになることを選べない、自分に許すことができないとき」というテーマでいくつかのケースを見ていきたいと思います。

 

というのも、先日、ある方と話をしていて、その方のお母さんのお話を聞く機会がありました。そのお話は、この方のお母さんは幸せになることを選べないでいたのではないだろうかと感じるお話だったからです。

それを聞いて、私たちは頭では幸せになりたいと願っているけれども、それをどこか選べなかったり、幸せになることを自分に許していないことがあるなぁと思いました。
ということで、これから数回にわたって、そうしたケースについてご紹介しながら、どうしてそのようなことが起きるのか、心の仕組みやビリーフという観点から読み解いていってみたいと思います。

 

婚約破棄をされたお母さんの結婚生活

第1回のケースは、前述のお母さんのケースです。

この方のお母さんには婚約をしていた方がいらしたそうです。お相手の方とは、相思相愛のもとの婚約だったそうで、お母さんは、「婚約が決まった時、亡くなった両親の仏壇に手を合わせながら、『幸せだなあ』と初めて感じた」そうです。ところが、その婚約が、突然破棄されるということが起きます。その理由は、相手の方に別に好きな人ができたからというものでした。そうした話を、その方は大人になってからお母さんから聞いたそうです。

 

その後、お母さんがお見合いで最終的に結婚相手に選んだ方(つまり私がお話をしていた方のお父さん)は、耳に障害がある方でした。

しかも結婚相手となったお父さんは耳の障害だけでなくいくつかの持病も持たれていたために、時に癇癪を起こしたり、感情のコントロールが難しい方だったようなのですが、お母さんはお父さんがどんなに理不尽な行動をとっても、ひたすら我慢して、家族の間に入って仲を取り持つ役目をされていたそうです。

 

また、結婚生活や子育てをしていく中で、このお母さんは、着飾ったり、パーマをかけたり、お化粧をすることや、何か贅沢をすることは、あまりされなかったそうです。

 

このお母さんのビリーフと、ビリーフからとる行動

お母さんが目の前にいらっしゃらないので、本当のところはわからないですが、このような生き方をされたお母さんが持っていたビリーフはどんなものだったのだろうかと思いをめぐらせてみたいと思います。

ビリーフは、私という存在を形成し、そして私たちの解釈や判断、行動に影響を与えるものなので、お母さんが実際にとられた行動や対応、生き方から、お母さんが持っていたであろうビリーフを想像することができるからです。

 

このお母さんは、小さい頃に生みの親を相次いで亡くされ、継母に育てられたそうです。そうしたお母さんが経験した体験や環境からも、このお母さんには「人は去っていくもの」「幸せは長続きしないもの」というビリーフがあると考えられます。それが、婚約が破談になったことで、「やっぱり人(幸せ)は私から去っていく」「やっぱり幸せは長続きしないものだ」とビリーフが強化され、さらに深く刻まれたのではないかと思います。

 

では、こうしたビリーフを持っていると、どんな行動を取るのでしょうか?

 

私たちはビリーフに則った生き方をしますので、上記のような経験やそれによるビリーフがあると、幸せを感じるということに対して臆病になったり、怖れたりするようになっていきます。その結果、頭では幸せになりたいと思っていても、幸せになるために積極的に人生の中でのチャレンジ、挑戦というものがしにくくなったり、そういったものを遠ざけたり、最初からあきらめるということをし始めます。期待が裏切られた時のショックを和らげ、自分を守るために、全体的に、自分や人生に期待しないという態度で自分の本心や本音を出さないように処理をしようとすることも同じしくみです。

 

 

 

また、こうしたビリーフを持っていると、無意識に人が去っていかないように行動することも考えられます。その結果、その人を繋ぎ止めるために、自分より人のことを優先しがちになるかもしれません。

 

 

このお母さんは、「継母に育てられた中で、精神的、経済的な負担をかけないようにと、日ごろから遠慮をしたり、必要以上に我慢をしていた」そうですが、こうした行いになったのも、また、結婚生活で理不尽な夫に我慢し続けたのも、そもそもそういう人と結婚したことも、上記のビリーフが関連していることが推察できます。

 

その方は、お母さんがお父さんを選んだことも「母に確認したわけではいし、母の中で、意識的か無意識的かはわからないけれども、『この人なら自分から去っていかないだろう』という人を選んだのではないだろうか」と話してくれました。

 

 

 

次回は、この「幸せになることを選べない、自分に許すことができないとき ~ビリーフを生きる私たち」のシリーズの続きで、「私は幸せとマッチしない」というケースについてご紹介したいと思います。

 

またシリーズの最後には、どのように信じているビリーフ、思い込みから自由になっていくのか、その回復の道についても触れていきたいと思います。

 

 


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