Browsing Tag

ポリヴェーガル理論

ブログ 不安なときの対処方法 心のしくみを理解し安心をとりもどす

トラウマについて~生きづらさから解放されて自分を愛する力を取り戻すために~(後編)

2022年12月29日

前回は、トラウマがどのようにできるのか、そしてそのトラウマがどうして残り続けるのかについてそのメカニズムを見てきました。

今回は、「トラウマ記憶」としてとどまることでどのような影響があるのかについて理解するとともに、前回のメカニズムを踏まえて、どのようにトラウマから回復をしていけばよいのかについてみていきましょう。

 

トラウマ記憶が留まることの影響

トラウマは、自分自身のとらえ方や世界の見え方に影響を与えます。前回みてきたような様々な要素や因子によって、私たちは強い恐怖感、どうにもならないことによる無力感や孤立感、分離感を感じると、それらから自分を守るために3つのFのFreeze 反応を起こし、それらを体の中に留めます。

 

私たちは、元々、感情―感覚―思いを通して、自分や世界をとらえるというしくみを持っているので、留めてしまった感情―感覚―思いが解放されない限り、私たちは自分のことを無力な小さな存在と感じたり、誰からも助けてもらえない存在だと思ったり、世界や社会は怖いところだと感じたりという風に、自分自身や世界へのとらえ方を変えてゆがめてしまうのです。→過去記事リンク

 

では、自分や世界をゆがめてとらえることで起きることとは、どのようなことでしょうか?

 

元々の私たちの自然な状態から遠ざかる(PTSDの症状)

体験がトラウマとなると、自分は小さな存在、犠牲者であると自分のことをとらえることで、下記のような反応のしかたを起こします。これらをPTSDの症状と言います。

 

・脅威感から抜け出せない:心も身体も警戒を解けないので、常に不安で、緊張している状態になる。そのことによって不眠、イライラするなど感情の調整がしにくくなる、身体への影響(例えば疲れがとれない、頭痛、過敏性大腸炎など)としても現れます。

 

・体験が過去のこととして整理されずに再体験症状として現れる:体験した当時と似たような状況に遭遇したり、ふとした何らかのトリガーによって、体験時にうけた感覚がそのままよみがえって、体験を再体験(フラッシュバック)する状態になる。

 

・トラウマを思い出したり、考えたりしたくないために回避行動をする:トラウマの記憶と関連するものを考えないようにしたり、思い出すきっかけとなるものを回避しつづける状態になる。時には、再び傷つかないように、心を麻痺させる方法として、アルコールや薬物などに依存をしていくこともあります。いずれも回避行動を取ることで、自分の普段の行動は制限され、生活の質が落ちていくことにもつながっていきます。

 

このように、自分や世界をネガティブにとらえてしまうと、私たちが本来もつ活力や元来の自然な状態から遠ざかる方向へと向かうので、生きづらさへとつながってしまいます。

 

安定した人間関係を築くのが難しくなる

トラウマ体験によって自分は守られない、世界は安全ではないといった、自分や世界への信頼が損なわれた状態になると、人間関係を築いていくことは当然難しくなってしまいます。

 

トラウマ体験によって自分や世界についての認知がゆがめられると、自分はいつも小さく無力な存在として存在することになり、その反対に人々や世界は信頼できない、やさしくない大きな存在として存在することになるでしょう。

そうなると、相手のことを怖いと思って避けたくなったり、逆に、本当は危険な相手かもしれないのに「こんな自分でも受け入れてくれる人なのではないか」と思って、過剰に相手に期待や好意を抱いてしまい、それが与えられない場合そのことで傷ついてしまったり、ということが起きます。

 

また、簡単に「支配―被支配」の構図に取り込まれてもしまいます。自分は無力だと思っているので、力の欠乏感を埋めるために、自分よりも力を持っている何か(人やモノ)を必要としてしまい、その相手の言いなりになったり、逆に虚勢を張ってあたかも自分に力があると感じたいために「誰か(何か)を支配する」ことに固執するといったことが起きます。境界線の記事でも書きましたが、共依存がトラウマと関連があるのは、トラウマによるゆがんだ自分や世界への見え方が、自分と相手との間のパワーバランスを見誤らせてしまうからなのです。

 

 

このように自分や世界への信頼や信用が欠落した状態は、自分と相手との適切な距離感をわからなくさせ、安定的な人間関係を築くことの障害となってしまうことにつながります。

 

抑圧することにエネルギーを使ってしまう

トラウマによって、凍らせた感情―感覚―思いは、解消されない限り、過剰な神経の高ぶりをもたらしたり、ふとしたはずみに再体験の症状がでたり、心にも身体にも影響を及ぼし続けます。このような状態が続くと、私たちは、野生動物のように解放するという方向ではなく、それがあまりにつらいので、さらに抑圧をしつづける、ということをします。

この、何かを思い出さないようにしよう、抑えようとする動きには、相応のエネルギーが必要です。ここにエネルギーが費やされると、抑うつ状態になったり、自分が何を感じているのか、何を思っているのかがわからなくなくなってしまう「感情的なマヒ状態」に陥ります。感情的なマヒ状態になると、自分の感情の扱い方、向き合い方がわからなくなってしまいます。トラウマの解消のためには、凍らせた感情―感覚―思いにアプローチして解消をしていく必要がありますが、この感情的なマヒ状態があると、感じたり、向き合ったりすることが難しくなり、それがトラウマからの回復を阻み、トラウマに苦しみ続けてしまうことにもつながってしまうのです。

 

ここまで、凍らせた感情―感覚―思いによって変えられたネガティブな自分や世界への認知がどのような形で影響がでるのかについて見てきました。

前回の記事で書いたように、野生動物は、トラウマを残しません。それは、捕獲者によって脅かされた生命の危機が去ると、自ら凍らせた状態(仮死状態)からゆっくり起き上がり(醒めて)、深呼吸し(腹側迷走神経系を刺激している)、体をぶるぶるふるわせて、留めていたエネルギーをリリースするからでした。

 

私たちがトラウマから回復していくには、上記の野生動物のように、フリーズさせて留めてしまったエネルギー(感情―感覚―思いの集積委)を解放することが大切です。

 

それでは、この凍らせた感情―感覚―思いをどのように解放し、トラウマから回復していけばよいのかを見ていきたいと思います。

 

トラウマからの回復のプロセス

凍らせた感情―感覚―思いを解放するには、まず、安心安全を感じられる状態になることが重要です。なぜなら、それが感じられないと、すでに書いたようにそもそも感情にアクセスすることができないからです。感情にアクセスできなければ、負の感情や感覚を解放することもできません。

 

感情にアクセスするためには、体験をトラウマにしてしまう4つの要素(UDIN)のうちの、I(一人で対処するしかなかった:Isolated)の部分にアプローチします。トラウマから回復するには、体験をトラウマにしてしまう4つの要素を取り除けばいいわけですが、特にトラウマは「誰も助けてくれない」という無力感と孤立感が支配する究極の状態なので、この状態と最も関係があるIからアプローチしていくことが効果的です。

そうすることで、これまで感じられなくなってしまっていた「安心安全」の感覚を取り戻すことをできるようにするのです。そこから入ることで、4つの要素の他の要素にアプローチしやすくなります。

 

I の要素にアプローチする方法は、「自分はひとりぼっちじゃない」というポジティブな感覚を感じてもらうことです。具体的には、トラウマの解放ワークに入る前に、サポーターになってほしい人や存在をイメージする、というワークを行います。

 

また、いきなり一番ショックが大きい場面や記憶の感情は扱わず、まずは全般的な負の感情を解放することも行います。具体的には、「もし思い出すとしたなら」という風に尋ねて、向き合うことへの怖さや不安感などを軽くするのです。(この際に、次に述べる感情解放のテクニック(EFT)などの心理療法を用います)これによって、トラウマの記憶に向き合うことへの抵抗も緩まり、感情や感覚へアクセスすることもしやすくなります。

 

私が採用している心理療法としては、「感情解放のテクニックEFT(Emotional Freedom Technique)」や「マトリックス・リインプリンティング」があります。これらは、エネルギーポイントである体のつぼ(経絡)を刺激していくのですが、つぼの刺激によって気が整うとともに、トラウマ体験によって留めてしまった感情や感覚、思いにアクセスがしやすく、アクセスができればできるほど抑圧していた(凍りつかせていた)感情や感覚、思いを解いていくことができるので、結果として歪んで解釈してしまった自分や世界へのとらえ方も変わることとなり、本来の自分、自分らしい自分へと回帰していくことができるのです。

 

また、トラウマケアの方法として「トラウマ解放エクササイズ(TRE)」という療法があります。これは、動物のように身体を震わせる運動をして、身体の中に残っている緊張感、エネルギーを解放することができるものです。ストレスの軽減から、紛争や自然災害などによる重度のトラウマケアにも使われています。

 

トラウマからの回復に大切なこと

再体験しないように注意する

トラウマの解放の治療を受ける、セッションなどの施術を受けるなど、トラウマに向き合うためには、前提として、「再体験」をしないように留意することが大切です。

 

なぜなら、凍らせたものが一気に急激に噴出してしまうと、処理したり整理したりする許容範囲を超えてしまい、それが新たなトラウマになってしまうことがあるからです。

 

炭酸水のボトルを急激に開けると、中の炭酸水が急激にあふれ出たという経験があるかと思いますが、トラウマも同じです。トラウマと向き合うためには、凍らせたものが一気に溶け出してこないように、ボトルのふたを緩やかに開ける際のあの手のひらや指の力を「うまく調整する」必要があるのです。

 

トラウマについての十分な知識、経験がある治療家、施術者を選ぶ

前述のような理由からも、トラウマからの回復のために治療や施術を利用する際には、トラウマやトラウマによってどのような症状や状態が引き起こされるのかについて十分な知識やトラウマ解放についての経験がある治療家、施術者を選ぶことも大切でしょう。

 

自分自身でも安心安全の感覚を育てる

前述の「うまく調整する」力を適切に働かせることに関係があるのが自律神経です。特に自律神経の回路の一つである腹側迷走神経がきちんと機能しているかがその調整力の鍵を握っています。

腹側迷走神経は、「ここは安全である」と判断されていればいるほど、交感神経と、安心して休息できることと関係のある背側迷走神経とを、バランスよく行き来することを可能にさせてくれる働きを持っているからです。

 

トラウマ体験というのは、自分の中から安全な感覚や安心感をそがれる経験なわけですから、トラウマワークをする際に、「安心、安全の感覚」を持ちながら向き合うためにも、また再体験をしないためにも、腹側迷走神経の機能を回復していく、より活性化できるようにしていくということが必要になってきます。また特に、腹側迷走神経系が十分に発達していない幼い頃に、長期間にわたり、繰り返し心の傷を負う体験をしてきた場合は、このステップがなおさら大切です。

 

腹側迷走神経を刺激する方法として、横隔膜から上の部分にある部位を活性化していくとよいです。以下は過去の記事にも記載しましたが、再掲しますね。

 

・顔のマッサージ・バーボーブーと口、表情を動かしながら声を出す・ハミングする

・深い呼吸を意識する(特に吐くのを長くする)

・自分にとって快適と思える音楽や音に触れる

・自分にとって、安心感や力をもたらしてくれるものをイメージして、イメージすることで得られる感覚をよく感じたり、自分の土台づくりのための資源(リソース)として活用する

・安心感や安全だなという感覚を与えてくれるものと接する(自然に触れることかもしれませんし、安心できる人やペットとの交流などかもしれません。)

 

ここで、このエクササイズを使われたAさんのケースをご紹介します。

Aさんは海外に住んでいらっしゃるのですが、一時帰国する日の前日にパニック発作に見舞われました(これが人生で初めての発作だったので、まさに4つの要素のUDINが揃った体験だったと言えます。)。それからというもの、神経が異常に高ぶり、何をするにも不安で、周りの音や気配など全てに過敏になるなどPTSDの症状に苦しんでいらっしゃいました。この時にご連絡をいただいたのですが、この時感情にアクセスすることが難しい状態でしたので、まずは、上記のエクササイズをご紹介しました。

そして約1ヶ月後にご連絡をいただいた時には、悩まされていた脅威感が消え、気持ちも穏やかな状態になられていました。聞くと毎日欠かさず上記のエクササイズを実践されていたとのこと。改めて腹側迷走神経の調整が、安全安心の感覚を取り戻すことに効果をもたらしたと感じる経験でした。

 

自分も世界も安全であるという感覚を取り戻そう

2回にわたって、トラウマのでき方、残り続けるトラウマによる影響について、またそこからどのように回復していくのかについて書いてきました。

 

トラウマのエネルギーは、私たちを過去に留め、私たちの生命力を閉じる方向へと向かわせてしまいます。

しかし、たとえ、絶望や生きづらさがあったとしても、「どんな体験も感情―感覚―思いの集積で構成されている」という私たちの心と身体のしくみに立ち返って、苦しみを生み出す感情―感覚―思いに向き合い、解消していくことで、今を生きているという感覚を取り戻したり、自分も世界も安全であるという感覚を回復することができます。この状態で自分自身や世界と関わっていきたいですね。

 

 


パニック障害ランキング

ブログ 不安なときの対処方法 心のしくみを理解し安心をとりもどす

トラウマについて~生きづらさから解放されて自分を愛する力を取り戻すために~(前編)

2022年12月28日

今回からは「トラウマ」について書いていきたいと思います。

トラウマのメカニズムについての理解を通じて、なぜトラウマの解消が心身の不調や生きづらさからの解放につながるのかを理解していきたいと思います。

シリーズ1回目の今回は、トラウマがどのようにできるのか、そしてそのトラウマがどうして残り続けるのかについて見ていきたいと思います。

トラウマとは

トラウマとは、心に傷を残すようなつらい体験によって、その経験が、時間とともに単なる過去のひとつの記憶として消えずに、「トラウマ記憶」として残り続けることを言います。危険が去っても、トラウマ体験時に感じた思いや感情が、身体の中にとどまって、元に戻らない状態のことを指します。

そして、このトラウマによって、心が本来もつ機能や役割を果たせなくなることはよく知られているかと思います。この状態は、心身に様々な影響を及ぼします。不安障害や、パニック障害、うつ、依存症、摂食障害などの症状となって出たり、人間関係を構築していくことに難しさを感じたりと、生きづらさと深く関係するのです。

 

心に傷を残すつらい体験とは

「心に傷を残す辛い体験」とは、どのようなものでしょうか?

それらは色々に分類できますが、一つの例としては、一過性の非日常的な体験と、継続的にくりかえされる体験に分けることができます。以下はその例です。

 

<一過性の非日常的な体験の例>
・事故に遭った・事件に巻き込まれた
・自然災害、火災を経験した
・リストラに遭った
・暴力的な犯罪に遭った
・レイプなど望まない性行為を強いられた
・親しい人、大切な存在が亡くなった
・自分は経験していないが、他者がこれらを経験しているのを目撃した
・手術や何等かの医療処置において怖い思いをした

<継続的に繰り返された体験の例>

・暴言・暴力など、精神的・肉体的な虐待に遭っていた

・親や養育者から適切で十分なケアを与えられずニグレクトの状態にあった

・性的な虐待に遭っていた

・両親の仲が悪く、親同志の喧嘩、暴力を目撃していた

・長期にわたるいじめに遭った

 

危険な状況におかれたときに起こる生理的反応 3つのFパターン

私たちは、危険と感じたとき、命の脅威を感じるような状況に遭遇した際に、私たちの心と体はどのような反応を起こすのでしょうか?

 

安全が脅かされると感じた時は、私たちはとっさに反応します。「本当に危険なものなのかどうか」といった判断をする間もなく、危険だと察知すると、脅威から命を守るためのプログラムとして、防衛反応が作動するのです。この防衛反応には、3つのパターンがあり、その頭文字をとって、「3つのF」と言われます。いずれも危険な状況から命を守るための大切な生理的反応です。

ちなみに、この時、生命の維持を司る脳幹といった脳の古い部分が使われています。

 

<3つのF>

①Fight 闘う:危険な状況に立ち向かって、その状況を打破しようとする反応。その状況、相手に対して好戦的、攻撃的になったりして闘争モードとなる。

使われる自律神経の回路:交感神経

 

②Flight 逃げる:危険な状況から命を守るために取る反応。安全でないと判断される状況から逃げる、回避する。苦手な状況、人を避けるというのもこの反応です。

使われる自律神経の回路:交感神経

 

③Freeze 凍りつく:闘うことも逃げることもできないときに用いられる反応。あまりの恐怖に身がすくんだり、立ち尽くして動けなくなったりしている状態はこの反応によるものです。動物は、捕獲者に対して闘うことも逃げることもできないときは死んだふり(仮死状態)をして、捕獲者のが興味を失わせて、命を守るという戦略をとったりします。私たちが無表情になったり、ショックな出来事についてよく覚えていなかったり、記憶が抜け落ちるというのは、この反応によるものです。

使われる自律神経の回路:副交感神経の2つの回路のうち、背側迷走神経

自律神経についての記事

 

「過去のひとつの記憶」とならずに「トラウマ記憶」としてとどまり続けるメカニズム(理由)

それでは、単なるつらい経験ではなく、「トラウマ体験」になるのはどういう要素が関係をしているのでしょうか?

 

要素として、

・体験そのものの大きさ(よくある体験なのか、生命を脅かす体験なのか)

・体験のしかた(誰も気づいてくれず、誰にも助けてもらえない、繰り返しつらい出来事を体験するなど)

が挙げられます。

 

「トラウマ体験」となる4つの要素UDINからの考察

例えば、ドイツ新医学の分野では、以下の4つの要素が重なると「トラウマ体験」である、と言うのですが、これはまさに上記の体験の大きさ、体験のしかたという要素ともマッチするなと思います。

 

4つの要素

U:予期していなかった(Unexpected)

D:劇的でショックが大きかった(Dramatic)

I:一人で対処するしかなかった(Isolated)

N:対処する術、方法がなかった(No Strategy)

 

これらの4つを、例えば、地震などの自然災害や、事故などを例にとると、これらの4つがわかりやすいかと思います。これらは突然起きます。だからこそ、そのショックは大きい。たとえ周りに人がいたとしても、気が動転していたり、パニック状態になっていると、助けを求めることも難しくなり、目の前の事態にどうすることもできないと感じる、といった風にです。

 

トラウマレベルに影響を及ぼす3つの因子

またさらに「トラウマ体験」の傷の深さに影響を及ぼす因子として以下の3つがあると言われます。

 

①一つは、トラウマ体験にさらされた時間の長さです。それが、一回もしくは短期間だったのか、長期間にわたったあるいは、日常的に繰り返されたのか。

 

②もう一つは、大人になって経験したものなのか、心も脳や神経系も含めて発達の途中である子どもの頃に体験したものなのか。

 

③最後の一つは、自分と相手との間にどれぐらいの関係性の近さがあったのか、です。
例えば、日常生活の中で、親や養育者との関係が不安定だったり、学校でいじめにあっていっていたなどは、自分と近いい関係がある人との間で起きた問題として捉えることができ、それがトラウマのレベルに影響を与えるということです。

 

凍らせたままになる感情―感覚―思い

先に、防衛反応の3Fについて述べましたが、そのうちの一つであるFreeze反応は、危険で恐ろしい経験に対して命を守るという意味では大切な反応なのですが、同時にその時に感じた感情―感覚―思いを切り離して閉じ込めることもします。解離と言ったりします。その経験とよく覚えていない、記憶が抜け落ちているといったことがあるのはこのためです。生命の維持のために、その時のショックを感じないようにしているわけです。

ちなみに自然界の野生動物は、死んだふりをしたことによって、捕獲者が興味を失って退散し、安全を取り戻すと、ゆっくり起き上がって、深い呼吸をし、体を震わせて体内に閉じ込めていたエネルギーや恐怖、緊張を解放して通常の状態にリセットするということをします。そうすることで、トラウマ体験として残らないのです。

 

しかしながら私たち人間は、野生動物のように、体内にためたエネルギーや感情―感覚―思いなどを自然に解放することができません。

その体験で感じたこと(光景、におい、光など五感で感じ取っていたことも含みます)をそのまま閉じ込め、凍らせることになるのです。

さらに、そこに体験の大きさや体験のしかたといった要素も加わった場合、閉じ込めるものがどれだけ大きいものになるか、想像に難くないかと思います。

 

レジリエンスを低める幼少期の体験

前述のトラウマレベルに影響を与える3つの因子(時間の長さ、時期、関係性の近さ)は、私たちの、ストレスや逆境に対応したり、そこから回復する力(レジリエンス)にも影響を及ぼします。そして、その力が未発達であることによって、トラウマ体験がトラウマ記憶として残ることにもつながっていきます。

対応したり、回復したりできる力は、子ども時代に親や養育者と安定した関係があったり、守られている、ケアされているという感覚が十分に持てていると健全に育まれていきます。

 

そして、それは、その子の世界と自分自身を見る土台にもなっていきます。ですので、この土台が不安定であったり、脆弱であると、成長する中で経験することが、傷(トラウマ記憶)として残りやすくなってしまう要因の一つとなります。

 

 

このように見てくると、様々な要素や因子が影響したり、組み合わさったりすることで、体験がトラウマ記憶としてとどまることを理解できるのではないでしょうか。

 

 

次回は、トラウマによる凍らせたままのものから見える世界と、トラウマからの回復について書いていきたいと思います。

 

 


パニック障害ランキング

ブログ 不安なときの対処方法 心のしくみを理解し安心をとりもどす

心身の健やかさをもたらす3つの自律神経と安心安全の感覚(後編)

2022年8月19日

前回は、自律神経についての新しい発見について理解するとともに、心身の健康にとって、腹側迷走神経がきちんと機能していること、その鍵は安全と思える状況や環境が必要であることを解説してきました。

 

今回は、腹側迷走神経を機能させたり、整えていくことと、「安全な環境」とはどういうことなのかを、心との関係から見ていきたいと思います。

 

セルフイメージがネガティブだと安心安全な環境ととらえにくい

 

私たちには、潜在意識にあるビリーフやセルフイメージを通して、世界を見る(投影する)というしくみがあります。

一方、自律神経システムは、いつもここが安全なのか、危険なのかというのを検出して、どの神経系を優位に働かせるかを無意識下で、自動的に調整し、働くのでした。

 

つまり、ビリーフがネガティブであれば、世界は怖いと感じたり、人は優しくないという世界観になってしまいます。そして、この世界観は自律神経にも影響を与えます。それは、腹側迷走神経系が機能してのつながりや関わりの方に、というよりは、交感神経優位の緊張状態や、背側迷走神経がより優位に働いて消極的な状態(避けたり、億劫に感じたり、閉じこもったり)の方になるといったふうに、です。

これはつまり、どんなに物理的に安全な状況、環境を用意されたとしても、内側の状態が変わらない限り、危険や脅威だという世界観の中にいることになり、腹側迷走神経がうまく機能できず、交感神経や背側迷走神経が日常的に用いられてしまうことが起きるということです。

 

それでは、内側の状態を変えて、安心安全の感覚を回復していくためにはどうしたらよいのでしょうか?

 

安心安全の感覚の回復のために必要なこと

過去の物語、過去の自分との同化から抜けて、今ここに戻る

私たちが苦しんでいる時というのは、ビリーフやセルフイメージをすっかり信じ、同化している時です。ビリーフやセルフイメージを信じている時というのは、ある意味、そのビリーフを持つに至った過去の体験(物語)を生きていて、「今ここにいない状態」という言い方をしてもよいかと思います。それは例えば、いじめにあった経験から「私は迷惑な存在だ」というビリーフを持つに至った人がいた場合、今冷房のきいた快適な安全な空間にいるにもかかわらず、いじめられた体験(物語)の中の自分になっていて、周りは私を受け入れてくれているのか?と不安を感じ、自律神経も巻き込んで緊張をしているようなものです。

 

このような状態は、今、実際に起きていることを完全に見過ごしている状態とも言えるでしょう。ですから、過去の体験(物語)から出るためには、「今」に戻る必要があるということです。

そのためには、今実際に体験していることに目を向けることです。

例えば、

・ソファに座っている時の背中が背もたれにあたっている感覚とか、
 
・コーヒーの匂いが鼻腔一杯に広がっている感じとか、
 
・呼吸のリズム
 
に注目をしてみるのです。

 

身体の中にあるエネルギーを解放する

また、私たちが、過去の体験(物語)を信じてしまうのは、その時に感じていた感情―感覚―思いを身体に保持しているからでした。

 

ちなみに、野生の動物たちは脅威に遭遇し、闘うことも逃げることもできないとなった場合、背側迷走神経系の凍りつきモードを作動させて、「仮死状態・死んだふり」をして生命を維持します。そして、脅威が去ると、身体を震わせて、凍りつきのときに身体にためこんだエネルギーを放出して、背側迷走神経系からニュートラルな状態に戻すのです。

しかしながら、私たち人間の場合は、文化的背景などから、震えはよくないものとみなし、脅威を感じた際に閉じ込めた感情―感覚―思いを解放せずに、とどまらせてしまうのです。よく、フラッシュバックで、当時をありありと思い出したりするのは、身体に解放されていない感情ー感覚ー思いがあるためです。

 

このような心のしくみの観点からも、神経系システムの観点からも、心も身体も「脅威は終わった」と感じるためには、身体に働きかけて、身体にたまったエネルギー(感情―感覚―思い)を解放することが必要であることが理解できるかと思います。

 

ちなみに私は、身体にある経絡を刺激しながら、抑圧された感情―感覚―思いを解放していけるEFTやマトリックスリインプリンティングといったセラピーをセッションで使いますが、上記のしくみからも理にかなっているなと思います。

 

腹側迷走神経系が未発達だと、安心安全の感覚があまりよくわからない

前回の記事にも書きましたが、腹側迷走神経は、生れながらに持っているものではなく、生育の過程で発達していくもので、養育者から十分なケアを受けられたという感覚があったかどうかがこの発達に関連があるのでした。

また、私たちは生まれてから6、7歳までの間に、家庭内の雰囲気、エネルギーをスポンジのように吸い込んで育つとも言われます。ですので、何かはっきりとわかる形でのニグレクトや虐待などがなくても、腹側迷走神経の発達が阻まれた場合、自分自身の中に安心安全な感覚が持ちにくいままとなり(そもそもわからない、ということもあるでしょう)、それが生きづらさにつながってしまいます。安心安全な感覚がよくわからない中で、それでもなんとか自分一人で生き残れるようにと、背側迷走神経による防衛反応を優先的に作動させるので(こうした中で、なんらかのビリーフやセルフイメージも持つことにもなるでしょう)、「生命の維持」は確保はできますが、社会的交流のモードなどからは遠ざかってしまいますから、人との関わりが難しくなったり、孤立感が高まったりと「いつもなんだか生きづらい」ということになってしまうのですね。

 

また、このような安心安全な感覚が脆弱だと、「危険なことに遭遇したとしても、いつかは安心を感じられるところに自分は戻ることができる、いつかはこの不安感は終わる」という確信や信頼を持ちにくくなるとも言われています。自分自身の中での「自分は大丈夫だ」という感覚がうすいと、安心を与えてくれるものを外に求めることをし続けないといけなくなります。そしてそれをしている限り、自分自身の中に安心安全な感覚を得ることはできないのです。このことからも、生きづらさや苦しみから解放されるために、自分の中での安心安全な感覚がわかっているかどうかが鍵になることも理解できるかと思います。

 

では、このような腹側迷走神経系が十分に発達しなかった場合、どのようにしたらよいのでしょう?

 

安心安全の感覚を育てなおすために必要なこと

それには、腹側迷走神経複合体」に注目してみるのです。

腹側迷走神経複合体は、腹側迷走神経だけでなく、顔や、喉、耳、頭に分布される神経類と形成されているのでした。

つまり、横隔膜から上の部分にある部位を活性化していくのです。

 

例えば、

・顔のマッサージ
 
・バーボーブーと口、表情を動かしながら声を出す
 
・ハミングする
 
・深い呼吸を意識する(特に吐くのを長くする)
 
・自分にとって快適と思える音楽や音に触れる
 
・安心感や安全だなという感覚を与えてくれるものと接する(自然に触れることかもしれませんし、安心できる人やペットとの交流などかもしれません。)

 

いくつかご紹介をしましたが、浅井咲子さん著「不安・イライラがスッと消え去る『安心のタネ』の育て方」にたくさんのエクササイズが紹介されています。参考にされてみるとよいかと思います。

 

まとめ

2回にわたって、自律神経のしくみと心がもつしくみとの関係から「安全な環境」とは何なのかを理解するとともに、安心安全の感覚をどう回復したり、育てなおしていくのかについて見てきました。

 

私たちの中に、安心安全の感覚を持てていると(持てるようになると)、(これまで)防衛(闘うか逃げるかの防衛や、凍りついての防衛)のために奪われていたエネルギーを、本来使うべきところに充てることができます。

それは、苦手な状況や嫌いな人が減って、臆せず人との関わりがもてるようになったり、
リスクを恐れずにチャレンジしてみようというやる気がわいてきたり、
安心して一人寛ぐことができる(凍りつきの休息とは違う休息のしかたで休める)
といったように、です。

 

このように、心も身体も「安心」を感じられるところから立ち現れてくる自分らしさから、他者と関わったり、物事にあたったりしていきたいですね。

 

参考文献:
「『ポリヴェーガル理論』を読む からだ・こころ・社会」津田真人著(星和書店)

ポリヴェーガル理論入門」ステファン・W・ポージェス著(春秋社)

「不安・イライラがスッと消え去る『安心のタネ』の育て方」浅井咲子著(大和出版)

 

 


パニック障害ランキング

 

ブログ 不安なときの対処方法 心のしくみを理解し安心をとりもどす

心身の健やかさをもたらす3つの自律神経と安心安全の感覚(前編)

2022年8月9日

今回は、自律神経と心の働きについて2回にわたって書いていきたいと思います。

最近、自律神経についての新しい発見があり、注目を集めています。なぜなら、その新しい発見によって、トラウマ、鬱、発達障害、不安障害などの様々な症状や状態について、自律神経の働きとの関連で、容易に説明がつくようになったからです。これは、私たちがどうして苦しむのかの謎を解き明かし、そして、そこからどう回復していくのか、何をすればよいのかの道筋も与えてくれるのです。

 

第1回目の今回は、まず、「自律神経」の新しい発見について見ていきましょう。

 

身体に働きかけるボトムアップのアプローチという潮流と新しい発見

 

「心と身体はつながっている」とよく言われますが、特に、昨今の心理学や心理療法の世界では、身体に働きかけるアプローチが、これまでの認知や思考に働きかける頭へのアプローチに代わって、「第4の波」とも言われたりしています。

 

これまでの認知や思考に働きかける頭へのアプローチが「トップダウン」のアプローチだとすれば、身体に働きかけるそれは「ボトム」からのアプローチだと言えます。

例えば「自分はもう大丈夫」といった新しい思いや解釈を持てるのは、不安感や落ち着かない感覚などが解消されて、新しい思いや解釈とマッチした身体の感覚や感情が伴うときです。そして、これまでの記事でも書いてきたとおり、感情や思いを解消したり、動かすには、それらを感じている身体への働きかけが必要でした。

 

また、私たちは、潜在意識にある普段気づいていない思い(ビリーフや思い込み)や感情に支配されていますので(それらを生きているので)、新しい思いや解釈を持てるようになるには、できるだけ意識の深い層にある思いや感情にアプローチをして、変容を起こした方がよいのでした。その際にも働きかけるのに必要なのは、身体をよく感じるということでした。

 

このように、自己の変容には身体に働きかけるアプローチが有効であり、「頭で納得しよう」といった形ではない、自然で、深い変容を可能にさせるという点において、ボトムアップのアプローチが注目されているということなのでしょう。

 

こうした潮流の中にあって、今回の自律神経についての発見は、心身の健やかさをどう保つのかについて、身体の機能という切り口からも裏づけたという意味でも「新しい」発見だと言えるのです。

 

自律神経についての新しい発見

 

それではまず自律神経の新しい発見から見ていきましょう。

 

これまで自律神経には、活動や緊張のモードと関係がある交感神経とリラックスやくつろぎと関係がある副交感神経があって、それらが互いに調整をしながら働いていると考えられてきました。

しかし最近、副交感神経には2つの真逆な働きがあると提唱する「ポリヴェーガル理論」が登場しました。

それによると、副交感神経は、その80%を迷走神経が占め、あらゆる臓器に広がっているそうなのですが(※下記図を参照)、この理論の名前にあるように副交感神経の多くの部分を占める迷走神経は多重(「Poly」)であり、「背側迷走神経」と「腹側迷走神経」に分けられる、というのです。

※元々、迷走神経は、この図にあるように、脳幹から出て、頭部(顔)、首、喉、胸、お腹まで広く分布している(迷走している)ので、このような名前がついているそうです。

つまり、自律神経系は、
交感神経系背側迷走神経(複合体)腹側迷走神経(複合体)という3つからなり、
それぞれが補完しあいながら、環境に適用できるよう作用しているのだそうです。

 

ひとつずつ順を追って見ていきましょう。

 

背側迷走神経は、延髄の背中側から出て、主に横隔膜から下の器官に到達します。

背側迷走神経複合体は、背側迷走神経と、求心性迷走神経(内臓から延髄内の孤束核に入ってくる神経ネットワーク)から形成されており、背側迷走神経は、危険に遭遇にしてどうすることもできないときに働き、私たちはフリーズします。「フリーズ」というと一見ネガティブに聞こえるかもしれませんが、フリーズすることにより生命を守ることができるので、大切な働きでもあるのです。

 

一方、腹側迷走神経は、延髄のお腹側を起点として、横隔膜より上にある器官(心臓、肺、喉)に到達します。

そしてこの腹側迷走神経は、顔面神経や三叉神経、舌咽神経、聴神経などと連動して「腹側迷走神経複合体」を形成しているのですが、これによって、豊かな表情をつくったり、声のトーンを変えたり、人の目を見たり、人の話を聴いたりしながら円滑な社会的交流を図ることができるのです。

 

また、この理論では、それぞれの神経系を進化の過程からも説明をしています。

 

一番古いのが「背側迷走神経系」で脊椎動物の始めから存在し、
2番目が「交感神経系」なのですがこれは魚たちの誕生とともに登場し、
一番新しい「腹側迷走神経系」は哺乳類以降の動物が獲得した神経系だそうです。
哺乳類は、相手の声のトーンや、表情を見たりしながら関係性を構築していきますが、これを可能にするのが、この腹側迷走神経であることから、この神経系は「社会神経系」とも呼ばれています。

3つの神経系の働きは?

 

腹側迷走神経は、「社会神経系」と言われるように、人や環境に対して安全と感じられる環境で、「社会的な交流、関わりをもった休息や緩み」の時に働きます。例えば、家族や親しい仲間と会話をしたり、楽しい時間を共有している時などにこの神経系が作動しています。

また、腹側迷走神経は、生れてから18カ月は存在しないため、その期間は、親や家族などの養育者からのケアを十分に受けていると感じられているかどうかが、この神経系を発達に大いに影響があるとされています。

 

一方、安全な環境から一転して「脅威だ」と感じられた場合、「闘うか、逃げるか」のモードに切り替わりますが、その際に作動しているのが、交感神経系です。腹側迷走神経から、交感神経が優位になり、緊張が起こります。動悸が早くなったり、血圧が上昇したりなどは、この作用によるものです。脅威ある環境の中で、文字通り、闘うのか、逃げるのかという「能動的な」防衛をするために使われる神経系と言ってもよいかと思います。

 

さらに危険な状況の中で、闘うことも逃げることもできない「生命の危機」となった場合、背側迷走神経が交感神経に代わって優位となり、私たちは、「フリーズ」します(凍りつき)。「生命の維持」という「受動的な」防衛反応に切り替わるので、「社会的な交流や関わりをもたない休息(人との関わりを避け、閉じこもる)」となります。いわゆる鬱や引きこもりといった状態の時はこの神経系が支配的に働いている時と言えるでしょう。

 

このように、3つの神経系は、「安全な状況、環境」、「脅威のある状況、環境」、「生命を脅かされる状況、環境」を感知、検出して(ポリヴェーガル理論では、「ニューロセプション」が選択しているという言い方をします)作動しており、安全→危険→生命の危機に応じて、上記の順番(腹側→交感→背側)のように階層的に出現します。

 

「階層的に出現する」と書きましたが、例えば、腹側迷走神経から交感神経への移行は以下のように出現します。腹側迷走神経は交感神経の急激な高まりを抑えるブレーキの役目も持っているので、「本当に危険だ」とわかるまでは、交感神経を抑制し、危険とわかった時点で初めて、このブレーキを緩めて、交感神経を作動させるという働きをします。私たちは、日ごろ、安全な環境だと判断される場合、安心して人と関わったり、活動をしたりしていますが、これは、腹側迷走神経複合体が作動した「社会交流のシステム」と、ちゃんとブレーキがかかった状態の交感神経系が上手くバランスがとれた状態で作用しているからなのですね。

 

このことを心と身体の苦しみという観点からとらえるならば、

安全な状況、環境で作用する腹側迷走神経優位の状態から、

危険な状態で作用する下層の交感神経、背側迷走神経系優位の状態への移行が急激なほど

 

また、腹側迷走神経優位の状態から遠ざかれば遠ざかるほど~つまり、交感神経系の「闘うか逃げるか」の防衛システムが優位になったままの状態や、背側迷走神経複合体の「凍りつき」の防衛システムが支配する状態から戻ってこれないほど~

 

心身の苦しみは深まるということです。

 

このように、私たちの心と身体の健康を維持するためには、3つの神経系が上手く制御したり、拮抗しあったりしてバランスよく機能していることが重要であるということです。特に、闘うか逃げるかの交感神経系優位の状態やフリーズ(凍りつき)の背側神経系モードから戻ってくるうえでも、社会神経系(腹側迷走神経)がうまく働いていることが大切であり、さらに、その社会神経系がきちんと働くかどうかは、状況や環境が安全であると判断されているかどうかにかかっている、ということもわかるかと思います。

 

ここまで、自律神経の新しい発見についてと、心身の健康にとって、腹側迷走神経がきちんと機能していること、その鍵は安全と思える状況や環境が必要であることを3つの神経系の出現の仕方から解説してきました。

 

次回は、さらに、腹側迷走神経を機能させたり、整えていくことと安全な環境とはどういうことなのかを、心との関係から見ていきたいと思います。

 

参考文献:
『「ポリヴェーガル理論」を読む からだ・こころ・社会』津田真人著(星和書店)

 

 


パニック障害ランキング

ブログ 心のしくみを理解し安心をとりもどす

自身の状態に”気づいて”、自己調整の時間を♪

2021年6月27日

先週は、パソコンがどうにも動かくなり初期化しか方法はないと言われ、泣く泣く、初期化→セットアップなどでバタバタ

視聴予定の動画講座などもあって、やってはいけない徹夜もどきに(パソコンへの依存度が高いことを改めて実感!)

というわけで今週はかなり緩めることを意識して過ごした

HSP、肝虚、エニアグラムの6番といった気質・性質にプラスして、自身のビリーフなどなどが絡み合って、きゅ~と緊張高まりやすい傾向があるので、気づくとえらい疲れている、ということになりがち

 

 

ヨガ、筋トレ、鍼、セッションで私のメンテナンスに関わってくださる専門家のみなさんがいること

心や身体の働きについての学びや情報に触れられること

音楽や食のことを共有できる仲間がいること

ほっこり一人時間を楽しむことができること

どれもありがたいことです

 

改めて、自分のこと、状態をわかってる、っていうのは大事だなと

理解しながら、
ゆるりと軽やかに、
新しい週もやっていこう

みなさまも新しい週、自分の状態に気づきながら過ごすことができますように!

 

☆募集中のセミナー☆

いつもつきまとう不安感から解放されて、安心感を手に入れる方法をお伝えしています

パニック発作、予期不安から解放されるためのパニック障害セミナー

~パニック障害、不安症の症状に悩んでいる方、またそのご家族などに~

心のしくみの観点から発作、不安感、恐怖感が起こるしくみを解説しています。
しくみを踏まえると、心、身体(神経系、脳科学)に起きている反応に対して、どのような方法、アプローチをとればいいのかも見えてきます。
根本的な解消に効果のある最新の心理療法についてもご紹介します。
ご自身に力を携えた状態で向き合っていくことを可能にする「しくみを知る」機会に触れてみませんか?
一緒に、根本的な改善に向けて歩みだしましょう!
私の経験、学びもシェアさせていただきます♪ 🙂

◎7月開催:2021年7月31日(土)10:00~12:30
◎8月開催:2021年8月27日(土)10:00~12:30

フォーム:http://ws.formzu.net/dist/S2276840/

 

 


パニック障害ランキング

ブログ 不安なときの対処方法

予期不安で落ち着かなくなるとき~「吐く息を長く」がよいのはなぜ?~

2021年3月23日

こんにちは!
春分の日もすぎ、都内では桜は満開とのこと。
すっかり春めいてきましたね。

 

私は、昨年11月からヨガを始めたのですが、
ここのところ毎日、教えてもらった呼吸法をやったり、
呼吸と動きを連動した練習をしたりしています。
体が伸びているところや、反対に縮んでいるところをよく感じたりしながら、呼吸を意識する時間は、自然と心を落ち着かせてくれ、頭もすっきりするので、とてもよくて、なぜにもっと早くに始めなかったのだ??と自問していたりします^^(自分にあった先生に出逢えたのもラッキーなのかもしれません)

 

さて、今日は呼吸についてです。

パニック障害の方にとってはあるあるだと思うのですが、
発作まではいかないけど、怖さがやってきて、心が波立つ感じになる、

あるいは、

発作寸前のギリギリのところにとどまりながらも、ものすごく落ち着かなくなる、

こういう経験があるかと思います。

こういう時には、過度に活性化している自律神経を、「ここは安心安全」のモードの方に戻していく必要があります。
その時に唯一私たちがコントロールできる呼吸を使うことができます。

以前の記事にも書きましたが、自律神経は呼吸の状態を“見ている”ので、呼吸から自律神経に働きかけることで、落ち着きへと導くことができるんですね。

特に恐怖感がわいてきた時、ぞわぞわする時には、その場ですぐに使える方法としてどう呼吸するのかを覚えておくと安心だと思います。

 

そして、これまでも、息を吐くのを、吸うより長くするとよいですよ、ということを言ってきました。

それがなぜよいのか?を
神経科学者でスタンフォード大学の神経生理学の教授でもあるAndrew Hurbemanの動画からなるほど~と納得ができたのでここにシェアをします。

動画では、息を吸っているときと、吐いているときに、
体の中でどのようなことが起きているのかを、呼吸、横隔膜、心臓、脳、心拍数の関係から説明しています。
(26:00ぐらいから)

 

それはこうです。
まずは、息を吸う時

 

息を吸うと、横隔膜がぐっと下に下がります。
するとスペースができるので、心臓が少し拡張します。
心臓が拡張すると、面積が大きくなる分、血流が遅くなる
それが脳に信号として送られ、
すると脳が今度は心臓に「もっとスピードアップして」と信号を送り返す
つまり、息を「吸う」のを長くすると、結果的に心拍数があがる、
ということです。

*息を吸うのを勢いよくやると、たとえ吸う時間が短くても、同じく心拍数はあがる、とのこと。

 

 

ということは反対に、「吐く」を長くすれば、心拍数がさがるということですね。

 

吐く時は、吸う時と逆で、

息を吐くと、横隔膜が上がります。
心臓が少し小さくなり、
それによって、血流が流れる部分がコンパクトになり、早くなる
それが脳に信号が送られ、
脳は、今度は心臓にスピードを落とすように信号を送る、

というわけです。

 

吸う/吐くの長さ、勢いが
横隔膜、心臓、脳、心拍とこんな風な関係があるのですね。

 

私も沢山経験がありますが。
パニック発作寸前のギリギリのところでもちこたえているときは、
恐怖のストーリーに取り込まれそうになっていて、
現実感がなくなったり、離人感があったり、集中力が散漫になる感覚があったり、
とにかく落ち着かない感じになると思います。
そんなときこそ、「呼吸」という、
安心安全モードへと促してくれる、
自らがもっている心強いツールを使っていきましょう!

*普段からも深い呼吸ができるようエクサイずしておくとなおよいですね

 

☆過去の記事:

浅い呼吸になっていませんか?

緊張や不安からの神経のたかぶりになぜ深呼吸が大切なのか?

 

深呼吸して~ 自分に優しく♡

 

☆募集中のセミナー☆

パニック発作、予期不安から解放されるためのパニック障害セミナー

~パニック障害、不安症の症状に悩んでいる方、またそのご家族などに~

心のしくみの観点から発作、不安感、恐怖感が起こるしくみを解説しています。
しくみを踏まえると、心、身体(神経系、脳科学)に起きている反応に対して、どのような方法、アプローチをとればいいのかも見えてきます。
根本的な解消に効果のある最新の心理療法についてもご紹介します。
ご自身に力を携えた状態で向き合っていくことを可能にする「しくみを知る」機会に触れてみませんか?
一緒に、根本的な改善に向けて歩みだしましょう!
私の経験、学びも惜しみなく出させていただきます♪ 🙂

◎3月開催:2021年3月27日(土)10:00~12:30
◎4月開催:2021年4月24日(土)10:00~12:30

フォーム:http://ws.formzu.net/dist/S2276840/

 

今回も最後まで読んでくださりありがとうございます♪


パニック障害ランキング

ブログ 乗り物恐怖 会食・嘔吐恐怖 その他恐怖症 心のしくみを理解し安心をとりもどす

鬱からの回復に必要なことは?

2020年1月13日

パニック障害から鬱っぽくなったり、外に出にくくなったりすることもあると思いますが、
今日は鬱について、鬱からの根本的な回復に必要なことについて書いてみたいと思います
鬱以外の他の症状でも置き換えて読めると思います・・参考にしていただけましたら嬉しいです😊

 

様々な形で便利な生活、環境の中にいるにもかかわらず、
鬱や引きこもりが問題となっている昨今
医療も発達しているのに何を見落としているのでしょう?

環境を変える、職場(学校)から離れる、休む、抗うつ剤をのむ・・・
これは症状への「対処方法」でしかないでしょう
同じ状況でもとらえ方は、その人それぞれの心(セルフイメージ、ビリーフ)によって違い、
(ある人は例えば、プロジェクトを任されたときに、平気なのに、ある人は大きな重圧と感じてしまうなど・・・)
そしてその心(セルフイメージ、ビリーフ)をもったまま、環境から離れたり、休んでいても、
自己否定があるままなので、体も(脳、自律神経もまきこむ)常に緊張状態の中におかれ、
本当の意味での休養、回復とはならないでしょう

ずっと続く緊張状態から体はシャットダウンし、
動けなくなる、不眠、頭痛、やる気がおきないなどの状態にもなっていきます
(うつから引きこもりになってしまうのはこの流れがあるからでもある)

また私たちは、哺乳類として、つながり、共感をベースに進化をしてきた生き物です
このつながり、共感を感じられること、あることというのが、本来、自然な姿です

しかしながら、このベースを崩される経験があると(継続的に虐待やニグレクトがあった、あるいは人生の中での経験)
心の状態(セルフイメージ、ビリーフ)もネガティブになりがちになり、
その状態が、物事のとらえ方にも影響を与えるでしょう

そういう意味でも、鬱からの回復には、
やはり一人一人のそれぞれの心の状態がどうなのか?どうだったのか?をみていくことでしかわからないでしょう

一見自分にとってはすごく真実味のあるセルフイメージやビリーフも
批判や否定の目ではなく、
受容と共感から向き合うことをしていけば、
必ず変容をしていきます

同時に自分の中にも自ずと力も戻ってくる・・・
自己否定から自己受容ができると
自然と、つながり、共感を感じられる
他者、世界にも興味関心がわく
その中で自分が何ができるのか、したいのかも見えてくる
他者の多様性にも寛容でしょう

今私たちをとりまく世界は
「競争」をベースとした世界にありますが、

自分に力を取り戻す人、
自分が、自分の責任と自由をもって生きているんだ、とわかっている人が増えていくとしたならば、

本当に大切なことは何なのか?に基づいて行動ができ、
それぞれが力を発揮し、
自由で、多様で、循環をベースとした世界ができるでしょう

話はちょっと大きくなりましが、
でもやっぱり一人一人の中の心の状態をみていく、そして変容が起きていく、
それは、大きな流れにつながっていくことでしょう

私も含めて、
今どんな状態であったとして、
年齢も関係なく、
変わることができる
そのこと、忘れたくないな🍀
そう思います🙂

ランキングに参加しています。励みになります。いつもありがとうございます

パニック障害ランキング

パニック発作、予期不安から解放されるためのパニック障害セミナー

予期不安、広場恐怖へと広がる理由、発作の原因について
心と体の観点からしくみを理解しませんか?

しくみがわかると
どのようにケアしていけばいいのか
どんな風にアプローチしていけばいいのかが
自ずと見えきますよ

☆セミナーについて:https://bit.ly/35cWdVH

理解をしながら、実践的に対応のヒントを得たいと思われている方、
なかなかよくならない、改善の鍵を求めていらっしゃる方
是非ご参加ください!
ご参加お待ちしております♪

☆開催概要☆
【日程】2020年1月18(土)
【時間】13:30~16:30
【参加費】8,000円
【対象者】パニック障害、不安症の方、またそのご家族など
【お申し込みフォーム】
パソコン・携帯共用:https://bit.ly/2SUbnfR

ブログ 心のしくみを理解し安心をとりもどす

感情のケア~ストレスが心臓の形を変える~

2019年10月26日

こんにちは!

今日は、循環器の医者であるSandeep Jauhar氏のTEDトークのクリップが流れてきたのでシェアしたいと思います~

 

動画のSandeepさんは、
心臓病の原因を
心臓の機能だけからみるのではなくて、
感情的なストレス(「心理社会的な要因」と彼は言っています。例えば災害だったり、ライフイベントだったり、一人の人間をとりまく様々な心理的な要因)を
心臓に関わる問題の原因の中心に置くというパラダイムに移行する時期に来ていると主張しています
(The American Heart Associationでは、まだ感情的なストレスを心臓病のリスク要因として挙げていないそう)

医療界ではまだ心臓を臓器のひとつとしての捉え方だけをされていて、そういった中で、人を全体的な存在として捉えて治療をしようと訴えています

スピーチの中で心臓と感情の関係の説明をされているのですが、
ストレスにさらされたり、失恋や大切な誰かが亡くなったことによる悲しみによって、
心臓は急激に弱まり、たこつぼのような形に変化するそうです
これを「たこつぼ心筋症」と言うそうで、
2004年に起きた新潟県中越地震の被災者の方を検証した例も挙げられているのですが、
震災によって、この「たこつぼ心筋症」の症状の増加がみられたとのこと

このたこつぼ心筋症は、数週間の間にもとに戻るそうですが、
たこつぼのような形になっていると、その期間中に、心臓麻痺や、命にかかわる不整脈、さらに死の可能性も高まるそうです。

 

また、人に対しての別の実験で、
食事や運動だけでは、心臓病予防には十分ではなく、
ストレスマネジメントをしていた方がより予防に効果があるという結果もでているそうです

 

私たち哺乳類は、社会的なつながりの中で安心安全を感じることができる種である、と言われていますが(ポリヴェーガル理論)、その点ともマッチする実験として、

ウサギを使った実験で、
高コレステロール食を与えられているウサギの中でも
実験者から話しかけられたり、愛情を注がれたり、遊んでもらったりしたウサギのグループは、そうではないウサギのグループに比べて、60%も大動脈の病気の確率が低かったとのことです

 

一方で、心臓と感情の関係を研究しているハートマス研究所というアメリカの機関があるのですが、
心臓は、体の中で一番強力な電磁場を作り出していて、
脳の60倍、磁場的に5000倍強力であり、エネルギー的に他者とコミュニケーションをとっており、
感情も心臓の電磁場を通して体中に伝わっている、
といったことを科学的に実証をしています

 

このように、ストレスマネジメントや感情のケアが体の臓器やその機能との関係においても大事だなと改めて思いますし、
人をとりまく社会、環境、ライフイベント、ライフステージの中でのケアを心からも体からもしていくというのが統合的なケアにつながるなと思います

また、「ストレス」と一言で言っても、
ある状況をAさんは何とも感じないけれども、Bさんにとってはストレスと感じるということもありますよね
人によって反応が違うのは(ストレスと感じるか感じないかは)、その人の心の中のあり様が違う、ということです。
そういう意味でも、
なぜ私はこんな風に反応するのだろう?と自分に視点を向けて、ケアをしていく、
それが本当の意味でのストレスマネジメントになりますね

 

今回も最後まで読んでくださりありがとうございます

深呼吸して~ 自分にやさしく♡

ランキングに参加しています。励みになります。いつもありがとうございます

パニック障害ランキング

ブログ 不安なときの対処方法 乗り物恐怖

緊張・闘うモードから安心・安全モードに切り替える方法

2019年10月13日

大きな台風が過ぎていきましたね
被害に遭われたかた、救援を待っていらっしゃる方に心よりお見舞い申し上げますとともに、
一刻も早い支援の手が差し伸べられますように願っております。

 

メディアの情報、
SNSからの情報、
携帯になる緊急速報の音など
いろいろ緊張にさらされた1日だったのではないかと思います

 

私もようやく食欲が戻ってきた~

知らず知らずにたまっている緊張感はそのままにしておくと疲れの原因にもなりますね

 

安心安全モードに切り替えていく方法としていくつか挙げます

深呼吸
5秒で吸って、5秒で吐く
あるいは、
4秒で吸って、8秒で吐く
どちらでもやりやすい方法で♪

深い呼吸ができると、迷走神経がちゃんとここは安全なんだなと判断してそれによって自然と体も緩んで、あったかくなったり、呼吸がなおしやすくなったり、します
心と体の仲介者ともいわれる迷走神経迷走神経は、どんな呼吸をしているかをみていて、どのモード?と判断しているので、呼吸って本当に基本だと思います。

EFTのトントン
今体に感じる感覚を捉えて、EFTのタッピングをします
今、ここが固い感じ、胸がザワザワ、などかもしれません
それらを感じならトントンとタッピングです
鎖骨のポイントをトントンだけでもよいですよ

エネルギーを動かしてくれますので、物理的に体が緩むと思います
私はあくびが一杯でました
*EFTのタッピングによってストレスホルモンのコルチゾールの分泌を適量にしてくれるという効果があります
ストレスに対応しようとする大切なホルモンですが、ですぎると交感神経優位の闘うモードになってしまいます

 

◎人やペットなどとコミュニケーションする
自分が安心できる人、ペット、モノ(毛布とかタオルとか、ぬいぐるみとかでもよい)とハグしたり、コミュニケーションをとってください
私たち哺乳類はつながりの中で生きている動物ですので、
「つながり」をもつのはとても自然なこと

 

◎自分がほっとできる音楽を聴く、ハミングする
つながり、社会系の神経と関連がある腹側迷走神経は耳、顔に分布しているので、ここを刺激してあげることが有効です
ハミングするときは鼻腔を使うので、CO2を吐き出しすぎて不足にならないですみます
CO2不足になると、酸素もうまく吸えず、呼気換気がうまくいかなくなります

 

「私より被害に遭って大変な人がいるから」という、自分を我慢させる思いはちょっと脇において、
自分が感じている気持ちに気づいたり、労ったりしてあげましょう

このように、自分とつながっている時は
力を奪われないですね

ここからの選択や行動は
自分にとっても
相手にとっても楽で、
愛をベースにした行動になるでしょう

愛ベースでの動きが楽なのは、
私たちが愛そのものであるから
そこからは誰もまぬがれない

さ~深呼吸から~♡

 

ランキングに参加しています。励みになります。いつもありがとうございます

パニック障害ランキング

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

パニック発作、予期不安から解放されるためのパニック障害セミナー
予期不安、広場恐怖へと広がる理由、発作の原因について
心と体の観点からしくみを理解しませんか?
しくみから、改善へのアプローチがみえてきますよ♪

まだお席あります~

◎「【オンライン】パニック発作、予期不安から解放されるためのパニック障害セミナー
2019年10月20日(日)13:30~16:30
ZOOMを使用したオンラインのセミナーになります。

☆セミナーについて:https://bit.ly/2U0vt52

☆開催概要
【日程】2019年10月20(日)
【時間】13:30~16:30
【参加費】8,000円
【対象者】パニック障害、不安症の方、またそのご家族など
【お申し込みフォーム】
パソコン・携帯共用:http://ws.formzu.net/dist/S2276840/

ブログ 不安なときの対処方法 心のしくみを理解し安心をとりもどす

不安感や発作がきそうの感覚がやってきたときは

2019年6月13日

最近、不安感に襲ってきたり、発作がくるかも~とギリギリの状態で保っている時にどうしたらいいですか?というご質問をいただくので、2015年に同じような投稿をあげていましたが、再掲します♪

不安な気持ちやパニックがきそうかもという感覚が襲ってきたら、
まずは、深呼吸をしてくださいね
深呼吸は前の投稿でもご紹介していますが、
5回で吐いて、5回で吸って・・・です
落ち着かない気持ちやソワソワした感じを緩和するのを助けてくれるでしょう

3種類あります
状況や自分のやりやすいのを組み合わせたりするなどして対応が可能かと思います

その前に3種類に共通するメカニズムを書きますね
なぜこれをするといいのか?がわかりますよね

◎私たちは、感覚や感情を抑圧(否定)すると、抵抗が大きくなって、なお不安感や嫌な感覚が増幅するというしくみをもっていること

◎「今ここで起きていること」に良い、悪いの判断をすると、「このままでは○○になってしまうぞ」という恐れのストーリー(思考)が暴走すること

◎私たち哺乳類特有にある社会系副交感神経を刺激することで、闘うか逃げるかの交換神経へ急激にいかないようにできること

ということで、3種類ですが
1.一つ目は、不安感や恐怖感、ソワソワする感じなどがでてきたら、それらの感情・感覚から逃げずにちょっと頑張って、「感じる」ことをしてみます
その際にEFTで使うタッピングを同時に使ってもよいです
鎖骨の下のポイントや手首の脈をとる部分をトントンと刺激しながら、
「怖いよね」
「不安なんだね」
「不安になって当然だよ」
と心の中で自分自身に言ってあげながら、不安感や恐怖感を感じていきます

よく
「そんな風に嫌な感情や感覚にフォーカスするとさらに感情が大きくなって飲み込まれたりしないですか?」
と質問されることがあるのですが、
大きくなるのは、先にも書きましたが抵抗してしまうとそうなってしまいます
なので、ただフォーカスして、感じてみる、ことをするといいです

2.二つ目は、「今、現在にフォーカス」することです
不安感や恐怖感がでてくると、
「思考に対する吟味力」が低下し、同時に悲しいかな、たくさんの思考が湧いてきます
それは先に起こる最悪のシナリオを作り始めてしまうので、
今ここに戻るには、今起きている体の反応、感覚(感情)に注意を向けることが必要になります

これは一つ目とも重なりますが、
特に感覚に意識をもっていきます

どうやって体の感覚にフォーカスするのか?ですが、

①緊張している箇所にフォーカスしてみる
胸かもしれません、
肩のあたりが力が入っているかもしれません、
手のひらに汗がにじんでいる感じがあるかもしれません、
頭のあたりがジンジンとする感覚があるかもしれません、
視野がなんとなく狭くなっている感覚があるかもしれません、
体全体が落ち着かない、
じっとしていられない感覚かもしれません、
喉のあたりがかすれるような、
声がでにくい感覚かもしれません、
足が震える感じかもしれません、、

意識をその感覚にもっていくだけです!
消そうとか、これは悪いものだ、なんとかしようとか(←これらも思考なので!)、するのではなく

②同時に呼吸することもを忘れないでくださいね

③緊張した箇所にフォーカスした瞬間に、「あ~~、こんなに緊張している!!!!」「やばい、やばい」などなど、なんらかの思考が湧いてくるでしょう、でも、それは思考だって、ちゃんと気づいてくださいね

④再度、体の感覚に意識を戻します
呼吸も忘れません

⑤緊張している箇所はどんな感覚か、フォーカスします。
重たい感じなのか、焼けるような感じなのか、熱いのか、固まってる感じなのか、擬音で表すとどんな感じでしょう?ギューでしょうか?キューでしょうか?

⑥呼吸は忘れないでください

このように
ただただ、起きている感覚を「観察」していく、ということを呼吸をしながら繰り返していきます
「観察」なので、一切の判断や分析をしないので、思考から離れることができるのですね
これをやっていると、自然とアドレナリンの放出が収まり、不快な感覚も静まっていきますよ

※緊張している箇所への意識を向けるのが難しい場合は、
EFTのタッピングをしながら(鎖骨の下のポイントもしくは手首の脈をとる部分)
そのトントンの刺激の感覚(手があたる感覚、強さ、タッピングの間隔がどんなか、指の温度など)に注意を向けるとよいでしょう

※また、普段からも、自分が今どんな感情や感覚を経験しているのかな?ということに意識的になっているとよりやりやすいですよね

 

3.三つ目は、哺乳類だけが持っている新しい副交感神経と言われる社会系神経を刺激する、です
この新しい副交感神経は、顔、耳、喉、胸(横隔膜)に分布しているので、この部分を刺激するとよいわけです

例えば、
・自分が安心できる音楽や音などを聴く
・安心できる人とのアイコンタクトやコミュニケーション
・喉を刺激するという点で水を口に含んで飲む、ガムなどを噛む
・そしてやっぱり呼吸です(横隔膜の動きを意識しながら深呼吸する)

以上が、心のしくみを基に、
不安感が襲ってきたり、発作がきそうかも、という時の対処法としてご紹介できるものになります

こうしてみるとやっぱり私たちって、思いー感情ー感覚ででしかできてないな、と思いますね(*^^*)

そして、さらに踏み込んで、
予期不安を生み出すパニック発作の経験の癒しや、
そもそも発作の原因となっている抑圧されている思いや感情を癒していくことをしていくと
根本的な改善へとつながるわけですが、
そこで見ていくのもやっぱり思いー感情ー感覚ででしかないので、
ホントにここを紐解いていけばよいのです
なのできっと大丈夫♡

今日も最後まで読んでくださりありがとうございます♪

深呼吸して~ 自分にやさしく♡

ランキングに参加しています。励みになります。いつもありがとうございます♪

パニック障害ランキング

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

パニック発作、予期不安から解放されるためのパニック障害セミナー
予期不安、広場恐怖へと広がる理由、発作の原因について
心と体の観点からしくみを理解しませんか?
しくみから、改善へのアプローチがみえてきますよ♪

2019年6月23日(日)13:30~16:30@東京 東池袋

☆セミナーについて:https://bit.ly/2GTvxkd

☆開催概要
【日程】2019年6月23(日)
【時間】13:30~16:30
【会場】あうるすぽっと 3F 会議室B1
東京都豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル3F
http://www.owlspot.jp/access/
【参加費】8,000円
【対象者】パニック障害、不安症の方、またそのご家族など
【お申し込みフォーム】
パソコン・携帯共用:http://ws.formzu.net/dist/S59511152/